映像は余計なものをあまり映さず、音楽の使用も最小限に抑え、映画全体として静謐な印象を受ける。
事故で寝たきりになった青年、その母親、また寝たきりの青年の恋人という設定は興味深く、韓国の社会情勢も織り込みながら、心情の機微を描いていく。移りゆく季節の中で変化する登場人物達が醸し出すメランコリックな情感は見事だ。
しかし、寝たきりになってからの介護の箇所は話の推進力に欠け、やや冗長に感じる。また、登場人物が多くない割に、話の焦点がやや絞りきれていない印象を受けた。
ラストは観客に解釈を任せるスタイル。おそらく何度か観れば感じ方も違うだろう。静かで揺蕩うような情緒感が韓国映画ぽくなく、新感覚だった。