ブルームーン男爵

DOGMAN ドッグマンのブルームーン男爵のレビュー・感想・評価

DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)
3.8
リュック・ベッソン監督最新作。主演は「二トラム」で主演を演じ好評を博したケイレブ・ランドリー・ジョーンズ。とても暗いタッチで、都会で生きる異色のダークヒーローを描いた映画。

個人的にはすごい面白く、前半は画面に釘付けだった。何より音楽の使い方が絶妙。特にユーリズミックス「Sweet Dreams」、エディット・ピアフの「群衆」と「水に流して」は何度聴いても名曲だが、もはやMVのようですらある。アバの「Money, Money, Money」の歌詞の引用なども洒落ている。ディートリヒの「リリー・マルレーン」も主人公の人生と重なり、最愛の女性を想う様がしんみりとくる。

ただ若干ご都合主義過ぎる展開はどうにかならなかったものだろうか。ワンちゃんたちがあまりにも有能で賢く、現実離れし過ぎているのに加え、ワンちゃんたちに比較して、ギャングたちの無能さとひ弱さは、観ていてズッコケ感が否めない。悲痛なシーンのはずが、一周回ってコミカルにさえ見えてしまう。

また、映画では実は神への信仰というのが伏線となっており、これは主人公の生い立ちとも関連している。しかし、途中はその葛藤がみられないのに、突然、最後にその伏線が再度登場するのが唐突感が否めない。

「ジョーカー」に匹敵するような作品になるポテンシャルの作品であるが、どこか勿体なさが残る作品だった。ただ面白いことには違いない。