ゆめちん

未来を乗り換えた男のゆめちんのレビュー・感想・評価

未来を乗り換えた男(2018年製作の映画)
3.0
未来を乗り換えた男

現代のフランス。祖国ドイツで吹き荒れるファシズムから逃れてきた青年ゲオルク、ドイツ軍に占領されるパリで他人の遺品を手に入れ、南部の港町マルセイユにたどり着きます。

現代のフランス? ドイツ軍に占領??
設定された舞台は1940年ですが、描かれる時代は現在で、過去のホロコーストと現代の難民問題を融合させようと試みた異色な作品で、面白い設定ですが多少違和感を感じます。携帯電話やPCもなくアナログ感が強いので、現在というよりは一昔前というイメージでしょうか。

少ない会話とナレーションから、登場人物の置かれた状況や心境を想像し、自分なりに解釈していきます。
ゲオルクは喜怒哀楽をあまり表に出さないので、掴みづらい部分もありますが、そういうところがこうした作品の面白いところでもあります。

ゲオルク、夫で作家のワイデル、医者のリヒャルドと3人の男性を翻弄するマリー、誰を愛しているのか、恋多き女性なのか、逃げたいのか、留まりたいのか、その心境が最後まで読みとれず、映像への現れ方も特異で、もどかしい不思議な感覚を味わいます。

あまりにも衝撃的なラストから、カフェでのマリーの存在を感じ微笑むゲオルク、現実と幻想が入り乱れる中、運命のいたずらがゲオルクに新たな希望を与えたのではないでしょうか。
ゆめちん

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