ぐるぐるシュルツ

ウトヤ島、7月22日のぐるぐるシュルツのレビュー・感想・評価

ウトヤ島、7月22日(2018年製作の映画)
4.0
逃げることしかできない。
状況を把握できない。
自分の背中は見えない。

〜〜〜

2011年7月22日にノルウェーで起きた同時テロ。オスロとウトヤ島。実際の時間で、ワンカットで追体験させる映画。

その島では年に一度の労働党の青少年たちの集会が行われていた。パーティもあった。その時は、俄かにオスロでのテロが彼らをざわつかせていた。そこに一人の警官が現れ、安全確認のために若者を並べてから、射殺し始めた。
生存を確かめながら確実に撃ち込んでいったという。

この映画では、その場面は描かれていない。
それでも、
銃声が聞こえてから、
逃げ出す人々の姿に戸惑い、
そこからパニックに陥るまでが本当に強烈で、胸が詰まる。
同じ年に、僕も、
同じようなパニックを見たことがあるから。
どうすればいいか、わからないけど、
無心で逃げる。
落ち着いたかどうかも理解できない状況。
一方は人為的。一方は自然の猛威。
同じにすべきではないかもしれないけれど。

逃げ惑うなかで、誰かのために行動するひともいる。
それでも、その後ろ姿は本当に無力。

ニュージーランドでも、ありました。
他人事ではない。
他人事ではないんです。

僕らはその時何をするか、何をできるか。
集団についていくか、
それとも単独で行動するのか。
僕は一目散に離れて、
隠れることしかできないのか。

この虚しさの奥には、
やるせない怒りがあると気づきました。
だけどそれは誰に対しての?