戦争映画と思いきや、夫婦愛の映画でした。
第二次大戦ダンケルクの戦いから4年、1944年6月のノルマンディー上陸作戦の数日間を映画化したもの。劇中に戦争シーンはなく、チャーチルが苦悩しながら上陸作戦を決断し、国民へ向けて演説するシーンがエンディングです。
どちらかというと、映画というよりドキュンタリーに近い印象。なので好き嫌いは分かれるのかもしれませんが、私は面白かったです。
映画は血だらけの海に佇むチャーチルの映像から始まります。第一次大戦で自身が計画し、失敗に終わったガリポリ上陸作戦。多くの若い命を失ったチャーチルは、ノルマンディー上陸作戦に強硬に反対します。
もともと短気で皮肉屋、扱いにくい性格なので、上陸作戦を推進するアメリカのアイゼンハワー大統領や側近たちと度々衝突。その都度、チャーチルを立て直したのは、妻のクレメンティーンでした。
「指導者も大変なんだ」と塞ぎ込む夫に「指導者の妻も大変なのよ!」と言い返すクレメンティーン。時におだて、特に激しく叱責し、めんどくさい夫を上手く操縦する奥様の愛情が印象に残る映画でした。
上陸作戦決行の前日、翌日、国民に対して行う演説の原稿を作りますが、この時点では上陸作戦結果は不明。「内容は結果次第」というチャーチルに、妻は違うと言います。「兵士の死に目的を持たせて。無駄な死だった家族に思わせないで」という言葉から、最後の名演説が生まれます。
「ヒトラーは火で我々を脅す。しかし我々は負けない。鉄は火によって鍛えられる。我々は真っ赤な鉄となって戦うだろう」と。
チャーチルの名演説シーンは色々な映画やドキュメンタリーで語られます。それはそれで感動するのですが、考えてみれば、ヒトラーも名演説家なんですよね。感動すると同時に、怖さを忘れないほうが良いのかもしれませんね。。
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関連映画:
□ 1940 ダンケルクの戦い
「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」
→「ダンケルク」(クリストファー・ノーラン監督)
□ 1944 ノルマンディー上陸作戦
この作品
→「プライベート・ライアン」(スピルバーグ監督)
また、チャーチル時代の国王であり、今作でも登場する国王ジョージ六世の有名な映画が「英国王のスピーチ」です。