ひでG

家へ帰ろうのひでGのレビュー・感想・評価

家へ帰ろう(2017年製作の映画)
4.0
2019年、最初の劇場鑑賞作。
自画自賛コーナー?→我ながらナイスチョイス!(・_・;
軽口は大概にして、、

皆さんのレビューでの評判も高かっただけのことはある、なかなかの良作で、いい初涙を流すことができました。

お正月休みもあるでしょうが、シネスイッチ銀座は、満員。
皆さん、眼が肥えているというか、やっぱ東京はいいなあ、観る映画のチョイスができるから!


さて、本作の予備知識をほとんど入れずに観に行ったため、最初は手探り。

最初は、ははん、頑固な老人放浪記シリーズね?
「ありがとう、トニエルドマン」を想起する。

飛行機でのシーンなんて、なかなか手強い爺さん!
これは笑える道行き映画なのかな、って

なんやかんや言っても、自分の味方につけていく爺さん!
憎たらしいけど憎めない。


でも、中盤、挿入されるアブラハム爺さんの過去の悲し過ぎる記憶から、物語のテイストは違ったかたちになっていく。

特に3人目のドイツ経由ワルシャワ行きの電車の中でのエピソードは、今までにない切り口。

アブラハムに「何か手伝えることはないかか?」親切心で声をかける女性学者とのやり取り、アブラハムの頑固な言動には、ドイツと同じ立場の私たちに突き刺さる

彼を単に頑固爺さんと片付けられない。
彼の頑固さを責めることができるはずがない!

だからこそ、彼が駅のホームでとった行動に心にしみてくるんだよね。

ヨーロッパという地続きの場所で、攻めた国と攻められた国。
加害と被害がはっきり意識されているからこそ、痛いけれど、前に進めるじゃないだろうか!
そんなメッセージももらうことができた。


ラストは、これから観る人のために、もちろん言えないが、
人々の眼差しのなんて優しいこと!

そして、袖触れ合った人々が結局、アブラハムを助けてくれたということ!

血の繋がりとか家族とかでなく、あかの他人が彼の願いを叶えてくれるんたね。


乾いた笑いも織り交ぜて、ブエノスアイレスからはるかワルシャワまで、人生のまとめの旅に、私たちの心も同行させてもらい、
年のはじめに、温かい気持ちを頂きました!

劇場鑑賞、いいスタートです!
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