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博士と狂人のArbuthのレビュー・感想・評価

博士と狂人(2018年製作の映画)
4.2
辞書編纂にまつわる人間ドラマを描いた映画ということでどうしても『舟を編む』を思い出しますね。和洋で全然趣きは違うけど。
『舟を編む』も大変そうだったけど(確か完成まで12年だったかな?)、こっちはもっと大変そうだった。英単語の意味を古いものから順に、その意味での用法が使われた最初の文献を引用する、という作業をAの頭からZの終わりまで一単語ずつ行うという気の遠くなる所業。しかもコンピュータも無い時代に。。。そりゃ完成まで70年以上かかるよ。

とまぁ辞書編纂のドラマ自体もすごいんだけど、それだと単にドキュメンタリーになっちゃうし、この映画の主眼はもっと別のところにつけられていて、それがメルギブソン演じる“博士”ことマレーとショーン・ペン演じる“狂人”ことマイナーの重厚な人間ドラマ。

特にショーン・ペンがヤバすぎ。映るシーン全て涙が出ちゃう。気迫。
罪と贖罪。後悔と葛藤。病気。色んな感情がない混ぜになって爆発している狂人という難しい役柄を演じ切ったこの人は本当に凄い役者さんだ。『アイアム・サム』の頃からファンです。

大英帝国のエスタブリッシュメントのスコットランド人差別とかスコットランド訛りの英語とか色々勉強にもなりました。良いもん観れた。
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