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いつか輝いていた彼女はのnt708のネタバレレビュー・内容・結末

いつか輝いていた彼女は(2018年製作の映画)
2.1

このレビューはネタバレを含みます

昨日観た『幕が下りたら会いましょう』の監督の過去作ということで鑑賞。扱っている題材は悪くないものの、シナリオと演出にかなり難があるように感じた。

シナリオに関しては、登場人物たちが抱える嫉妬の描き方があまりにも間接的かつ内向的で映画として描くことを十分に生かし切れていないように感じた。こういうことを題材にするのであれば、必然的に台詞や態度がもっととげとげしくなるはずだが、本作にはそれが見られない。さらに、彼らの抱える葛藤が作品が終わるのに向けて発展していかないのにも違和感を覚えた。そりゃあ、自分の葛藤を他人にぶつけるといった感情が発展するきっかけが登場人物たちに与えられていないのだから当たり前だが、題材が題材なだけにそういった発展が見られなかったのは残念である。

演出に関しては、まず画角の問題。スタンダードにする理由が見当たらない。むしろスタンダードにしたことによってカメラと登場人物の距離が近すぎたり、かえって遠すぎたりと空間をうまく使えていなかった印象を受けた。あの小さい画角であれば、演出側が空間を完璧なまでに使いこなせることはもちろんのこと、顔のUPが必然的に多くなるために演者側にも相当な演技力が求められるはずだが、本作がそういったスタンダードにするだけの理由を兼ね備えていたかどうかは甚だ疑問である。

それに本作は視点が曖昧である。主人公なのか。他の誰かなのか。そこで起こっていることを客観、あるいは俯瞰してほしいのか。こういう短い作品、殊にある人物の内的葛藤に焦点を当てた題材の作品は、主人公の主観を中心に描くのが適当だと思うが(もっと言えば、スタンダードという小さい画角を選んだのなら視点を絞るのが定石だろう)、本作は視点が右往左往するために最も肝心な主人公の葛藤がわかりずらくなっていた。

と、好き勝手なことを言っているが、ここから『幕が下りたら会いましょう』を作ったことを考えると凄まじい成長だ。自分も他人のこと彼是言ってないで、そろそろ自分の作品を作って同じ土俵に立たねば、、同年代の方たちに負けていられない。
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