きょう

存在のない子供たちのきょうのレビュー・感想・評価

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
4.3
● ネガティブな感情が蠢く映画
● 残酷な現実、直視する必要性
● 格差…問題を抱える中東を考える

◇ ストーリー
12歳の少年ゼインは両親を訴えた。訴えの内容は「僕を産んだ罪」。彼が何故裁判を起こし訴えることになったのか…。

◇ 感想
問題作といわれる理由がわかる。中東の抱える問題というのをリアルすぎる映像で伝えており、見る人全てにやるせなさを感じさせる。

本作で撮影されたリアリティ溢れる映像は日本では撮れないものも多いだろう。
いくら演技で映画といっても、日本で製作するとなるとOKを出す配給会社は居ないだろうなと思うぐらい貧しい暮らしの描写が強烈。
邦画でも「誰も知らない」や「蛍の墓」で似た設定はあったが、八方塞がり感は本作ほどではないと思う。
役者はほとんどが自分と同じ境遇の役を演じているらしく、特に主人公ゼイン君は凄まじい表情をする。

また世界各地で起こる負のスパイラルというのも関連する。
他国から移民が流入することで貧しいままの生活。子もそこに巻き込まれるというのはなにも中東だけの問題ではなく、それこそ製作元のフランスもそうだ。これに無関心も加わると更に抜け出すタイミングはなくなる。


とてつもなくネガティブな力が強い映画であると思う。その分与えられる衝撃も大きく、ドキュメンタリーを見ているようなのに感情移入してしまう作品だ。
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