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存在のない子供たちのMISSATTOのレビュー・感想・評価

存在のない子供たち(2018年製作の映画)
4.2
大人として居たたまれなくて、辛くて、でも主人公のゼインの真っ直ぐで真っ当な感覚が嬉しくて…だからこそ悔しくて…エンドロールでは、ずっと歯を食いしばってたらしく顎が痛くなっていた。

すごい映画でした。
125分間、スクリーンから目が離せなかった。

とても普遍的なテーマを扱ったストーリーだと思う。

社会的無意識に、子どもには1個人として人権も感情も意思もあるんだと認識せず、親のものや家族のものと考えるのは、本当いい加減撲滅すべき思想だと思う。

法廷でゼインが発した言葉は、どれもあまりに当たり前の感覚で、それに驚く両親の表情を見たとき、ああここにも居たと絶望感に襲われた。
この映画のすごいところは親(特に母親)にも妹や弟にもゼインが自分と同じように自由意思を表現できるべきだと信じてるところだ。
だからこそ苦悩する。自由意思の尊重が為されない社会は悲劇だ。

全然別の国の話とは思えなかったのは予告映像見たときから是枝監督の「誰も知らない」を思い出したからかもしれない。
暮らしに困窮してるしてないに限らず、子どもが自分とは違う考え方していると知ると、まるで裏切られたようなことを言う親がいる。
そういう大人は同じ大人に対しても同じように見る傾向にあるように感じる。

すごく単純なことだ。
ただ自分以外は全て他人で違う意思を持つのだという前提でいること。
そこからでないと歩み寄れない。
人と人も、ひいては国と国も…
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