KnightsofOdessa

誰もがそれを知っているのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

誰もがそれを知っている(2018年製作の映画)
2.0
[旧支配者に労働者が搾取され続ける話] 40点

一番の残念ポイントはファルハディじゃなくても撮れるってこと。国際セールスを意識したのか、人間の嫌な部分をほじくり回した傑作『彼女が消えた浜辺』と似たような設定ながら、パコ怪しい/アレハンドロ怪しいという表面的でつまらない口論を延々と繰り広げた挙げ句、犯人を簡単に明かしちゃうという拍子抜けで安直な結末を迎えるこの映画を、私は全く好きになれない。毎回心がぶっ壊れるくらいのエグい状況を提供してくれるのに、今回は激甘だったように思える。旧支配者のペネロペ・クルスが労働者のハビエル・バルデムを徹底的に搾取し続け、最終的に"良かったね"的な感じにしているのも非常に気にくわない。口喧嘩によって人間の本質を見抜くファルハディにしては会話が表層的で、基本的には通報するorしない、嘘ついたorついてない、金を払うor払わない、という痴話喧嘩的な水掛け論に適当などんでん返しを加えただけだった。別にイランで撮ってもよかったのに、なんでスペインなんだろうね。

結婚式から始まるのに、花嫁と花婿が事件に一切関係ないせいで、新郎新婦に全然フォーカスが全然当たらないのは笑った。結婚式にする意味とは。ファルハディガールズはいつも通りみんな可愛いが、同じような顔の人が多過ぎて最後まで家族関係は分からず仕舞いだった。主演の三人とベラさん以外は基本うろちょろしとるだけやんけ、そんなんで判別出来るかよ。

題名は『誰も知らない』に掛けて『みんな知ってる』にして欲しかったな。てか、ペネロペ・クルスの顔がリカルド・ダリンの半分くらいなんだけど。超ウケる。
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