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アップグレードのhikarouchのレビュー・感想・評価

アップグレード(2018年製作の映画)
3.6
めちゃくちゃおもしろくて、良いところもあるのに、しょうもないところで色々とボロが出ちゃってる感じ。もったいない。

昔は絵空事だった未来像に、いまや現実がだいぶ近づいてきていて、だからこその取捨選択があり、程よい現実感がとても心地よい世界観になっていた。

なにげにこの映画の白眉は、格闘シーンなのでは。本人の意思とは無関係に戦う、みたいなのは過去にもあったかも知れないけれど、この魅せ方は新しい。(バーチャルも含めた)カメラワークが素晴らしくて、ワクワクした。

また鑑賞方法として、インイヤーのイヤホンで観ていたので、主人公の鼓膜に直接語りかけるステムの声が、自分の鼓膜にも直接語りかけてきて、めちゃくちゃ気持ちよかった。この気持ち良い音声の音感には、造り手のこだわりを感じる。

ただツッコミどころもすごいあって、割とそれが気になってしまったな。そもそも自動運転の暴走によって不幸に見舞われた主人公が、自分を自動運転する誘いにすんなり乗り過ぎでしょう。そこ一番葛藤があるはずのところ。
また世界観にそれなりの現実味をもたせられたからこそ、現実味のない部分が気になってしまう。万能なAI(いわゆる汎用AI)ってのはもう100歩譲るとしても、それを体現するロボットが、プロテイン作り専用だったり投薬スタンプ専用だったりするのはオカシイでしょう。家にどんだけの数のロボットが必要なのよ。

あとこれは結構なネタバレ御免だけど、結局AIの望みが人間の体が欲しかったって、マジかよ。こんな制約だらけで不便なものの何が良いのか説明してくれよ。あと途中まで主人公のリベンジを手伝っていた理屈も、よく考えると全然意味わからないよね。

素晴らしかったアクションシーンも、もともとの本人の筋力を超えちゃうのはやっぱりオカシイよ。片手で人を持ち上げる力は、どこから湧いてくるの?このあたりは、スカジョハ映画のルーシーでも同じこと思ったな。

良い評判の理由も良くわかったけど、良い部分があるだけにイマイチな部分が目立ってしまって、個人的には乗り切れなかったかなあ。