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アメリカン・アニマルズのdarumaのレビュー・感想・評価

アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)
4.0
岡山天音くんがフィルマガのインタビューで挙げていたので鑑賞。なるほど…!図書館が舞台ということで観ましたが、こういう扱いか。想像と違ってちょっと驚いたけど、結構好きかも。実話ベースのクライム映画です。レンタル屋さんで借りたのですが、カテゴリが「アクション」となっていて、確かにアクションではあるが…心理モノという感じ。

大学図書館の蔵書である超・希少本を盗み、売り飛ばそうとした、大学生グループのお話です。

実話ベースなので、ちゃんと事件が起こります。
そこに行きつくまでの過程はもうドキドキワクワク…!売り捌くルートを確保してからの計画的犯行とか、一見緻密に見えるんですが…

犯罪モノの多くは、犯している本人に「正当性」があることが多い。
特に映画の場合、そういう気がする。(じゃないと映画にする意味が無いから)
その正当性に(観客を)どれだけ感情移入させられるか、が勝負みたいなところがあると思います。

だけど、これは違う。
もう、とにかく後悔だけ。

(もしかすると首謀者は違ったかもだけど)

だけど、それがいわゆる「普通の人」なんじゃないかな…?

強盗事件なので、人を傷つけるシーンがあります。
別に死んだりはしないんですが、人に危害を加えること、危害を加えてしまったこと、その恐ろしさをめちゃくちゃ丁寧に描いている。
そういう意味でも、市井の人の物語と言える。

(ここからはファンレビュー、笑)
観始めから、これ天音くん出演の「FUNNY BUNNY」をイメージさせてるな…!と思いました(図書館で強奪の話なので)。これまた彼の出演作で、直近で公開される「ある閉ざされた雪の山荘で」の監督である、飯塚健監督の監督作です。もしかして「FUNNY BUNNY」を撮る前に、本作を参考に観ておいて、と言われたのかな…?なんて想像してしまいました。もしくは自分で探して観たのかも。(そういうことをしそうなイメージはある!役作りとかめちゃくちゃ丁寧な人だから)

途中からは、実際にインタビュー記事の対象映画だった「笑いのカイブツ」が浮かびました。浮かんだ、というか、何故あの作品のインタビューでこの映画をチョイスしているのか、それが何となくわかる気がしました。思いつきで選んでいるように見えるけど、絶対計画的だと思う…(笑)
若気の至り、じゃないけど、あれも見方を変えると「普通の人」の話だと思うから。表出の仕方はめちゃくちゃ変人というか狂人?奇人?ではありますが、ベースになっている所が同じ? 何者かになりたかった、天才でも何でもない人の話だから。鬱屈としている毎日とか、かなり共通点を感じました。終わり方も少し似ている(映画としては似ていないけれど、実在の話として)。

天音くんが語っているように、実際の事件を犯した人のインタビューがところどころに差し込まれます。多分御本人だと思うんですが(演者さんと全然見た目が違うので)、その作りも結構興味深かったです。

個人的に、スペンサーを演じていた方が天音くんを連想しました(お顔も含めて)。天音くんがよく演じる立ち位置に近いというか、決して天才肌では無いし、自分自身が事件を起こそうという人では無い。(「FUNNY BUNNY」の役どころとも似ている。)主演作の公開時に、これをチョイスするのはこれまた興味深いな…と思った。頭の中がもう次回作の宣伝になっていたのかも知れない。

余談だけど、これは天音くんに限らずなのかもだけど、こういうインタビューを読んでいると(正確に言うと後々読むと)、匂わせ?じゃないけど、ああ、あの時あれを意味していたのか…みたいなことがたまにある。いろいろ併行していて忙しかったら、自分から出すものが今手元にあるものになりがちなのはわかる。でも、個人的には、計画的な物もあるかもしれないと思っています。サブリミナル告知、的な?(笑)

総じて、天音くんのチョイスはやっぱり好き。

(以上、ファンレビューを終わります。笑)

私は図書館モノが結構好きなのですが、図書館を舞台にしている中では、今までに観た事のないタイプの映画だな…と思いました。図書館って公共施設なので、わりとそういう、公正・公平、みたいなイメージの作品に使われがちじゃないですか?でも、全くそういう感じではないので、視点が開かれた感じがして、面白かったです。

タイトルの「アメリカン・アニマルズ」はどういう意味なのかな…?と思ったんですが、おそらく、盗もうとした本に因んでいるのではないのかな?観ていて書籍タイトルがよく把握できていなかったのですが、大きな本は「アメリカの鳥類」という名前だそうです(wiki調べ)。鳥の画が印象的です。あと、ダーウィンの「種の起源」が出てきます。

エンドロールでサンダンス映画祭のロゴを確認。わかる、と思った。
犯罪心理に興味がある方にはおすすめです。
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