竜平

アメリカン・アニマルズの竜平のレビュー・感想・評価

アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)
4.2
どこにでもいる至って「普通」の大学生たちが起こすことになる「とある事件」。その経緯から結末までを描く実話モノ。

個人的なことから言えば、今作はあらすじなどの前情報を何一つ入れずに鑑賞。序盤からある「まさかあんなことになるなんて」的な煽りと、そのストーリーテリングに終始ハラハラドキドキしながら見れた、という感じ。で見終わった今だから言えるけど、この映画は真っさらな状態で見ることをオススメしたい、そのほうが楽しめそうな気がする。全編ドキュメンタリーチックでありつつ、クライム系の内容にちょっぴり青春モノっぽい雰囲気もある。で内容やテーマにも掛けてきてると思うんだけど、前半の軽さと後半の重さの対比がとにかく秀逸。誰もが少なからず考えるであろう、平凡な日常に対して欲しくなる何らかの「刺激」というもの、今作はそれをまたおもしろい角度から描いてくる。見ていてある種の共感と同時に、映画の展開としての「刺激」をこちらも期待してしまう、というか。おっとネタバレになりそうだからあんまり言わないでおこう。

思うのが今作は映像演出が奇抜で本当に素晴らしいなと。カットの移り変わりやシーンの構成だったり、あとは登場人物の「記憶違い」を同じ場面として描いたり、更には映画の基となった本人たちが出てきて、しかもしれっと演じてる側とも共演しちゃったりってゆー、こんな斬新なのって見たことない。所々に盛り込まれてる他の映画のネタは知っていればいるほどニヤッとしてしまうはず。これも実話ということで、もしかしたら本人たちが実際に話してたことなのかも、とか考えるとちょっと愉快。それぞれの視点や記憶、敢えて話さないこととかも絡ませつつノンフィクションとフィクションの間を上手く衝いてくる感じ、映画的で非常におもしろい。何気にある若者特有の人間ドラマも含めて、なかなか好きな一本。てか『レザボア・ドッグス』のレビューでまさに書いてたことだけど、やっぱりミスターピンクって名前付けられるのはみんなイヤみたい。
竜平

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