※今回もある程度のネタバレをします。
未見の方は読まないことをオススメします。🙇🏻♂️
【好きな要素は沢山あるのに勿体ない作品です。】
『武士の献立』や『超高速!参勤交代』みたいな、剣術以外のものに取り組む侍を描いた時代劇は好きです。
加えて、
・過小評価をされてきた人物が、やむなく活躍して注目される
・勉強した知識は無駄にならない
・格差社会に対する批判
・『七人の侍』のような仲間集め
・中間管理職みたいなストレス
・前例やマニュアルにのっとることの正当性
・望んだ転職じゃなかったけど、結局、その仕事も好きになった
などなど、自分の好きな要素や展開が沢山含まれた作品なのは間違い無いんです。
ただ、色んなポイントでテンポやバランスの悪さやゆるさが目立つ作品で、ちょっと勿体なく感じました。😞
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【キャストが豪華すぎる】
星野源さんと高畑充希さんは「お源さん」のコンビでもありますね。
それから、大河ドラマ「軍師官兵衛」の
高橋一生さん、
濱田岳さん、
高畑充希さん、
あとピエール瀧もそうですけど、要は脇をよく見る人気の俳優さんで固めています。
でも、この映画。
豪華キャストのせいで色んなキャラクターを詰め込みすぎな気がしました。
もっとコンパクトな作品にまとめることもできたと思います。
向井理さん、
中村靖日さん、
正名僕蔵さん、
西村まさ彦さん、
和田聡宏さん、
など、妙に悪役も多いうえに、
高橋一生さん演じる主人公の幼なじみが劇中で、足を引っ張ったり頼りになったり、よく分かりませんでした。
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【高橋一生さんに合ってない役】
星野源さん、濱田岳さん、高畑充希さんはよくあるイメージ通りのハマり役だと思うんですが、どうにも高橋一生さんはあの役にハマってない気がしました。🕳
あくまでも個人的なイメージですが、高橋一生さんは良い意味で悪人にも善人にもどっちにも見えるので、序盤は彼がどっちのキャラクターなのか分かりませんでした。
そこは良いんですが、結局、
今作の彼が演じる鷹村源右衛門という侍は
“剣は強いけど、酒と女にだらしない、思慮深さのない幼なじみ”🍶👩
なんです。
そこは、高橋一生さんに思慮深い役のイメージを持っていた自分にとっては完全に違いました。
それに終盤の大立ち回りも、あの松平家の槍や伊万里焼の皿の伏線回収にもなっているのは良いんですが、⚔️
どうにも殺陣の演出がぬるく見えて、もっと迫力あるシーンに描いて欲しかったです。😔
あと他のみんなは、よくある時代劇らしく頭を剃っているのに、主人公の星野源さんと高橋一生さんだけ普通の頭なのはずっと気になりました。💇🏻♂️
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【BL要素、要りますか❓】
土橋章宏さんの原作本は読んでないのと、
自分には時代考証がどれだけ正しいのかは分からないので
なんとも言えませんが、
史実とエンタメのラインがごちゃごちゃして、少なくともこの映画単体では散漫に感じる部分も沢山ありました。
歌を歌って士気を上げるというのは昔からあったと思いますけど、🗣
『のぼうの城』で犬童一心監督と組んだ野村萬斎さんが作詞に携わった、あの「引っ越しの唄」は、
歌詞云々より、あのミュージカルみたいな演出が気になりましたし、
丘みどりさん演じる“みかけ”の歌のくだりも必要とは全く思えませんでした。🎙
加えて、今、流行りの「おっさんずラブ」的なBL要素も同様に、必要とは全く思えませんでした。👨❤️👨
自分はあの“柳沢吉保”という人物は、「忠臣蔵」の影響もあって、時代劇では特に悪役に描かれやすいイメージを持っているんですが、同性愛者とは知りませんでした。
及川光博さん演じる殿様も含めて、彼らが同性愛者というのが史実なのかは分かりません。🤷🏻♂️
でも仮に史実だとしても別に描く必要があるとは思えないですし、
おそらく、あれはウソです。
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【“その場しのぎ“のその後の人生】
そもそも、この『引っ越し大名』というタイトルですが、
それまで図書館書士みたいな仕事をしていた主人公1人にいきなりあんな大役を任せる上司にも問題がありますし、
それと単純に業務の引き継ぎが出来ていないだけだと感じる部分も無くは無かったです。
それから、
岡山天音さん演じる商人のその後や、
あと15年のうちに亡くなった方々の遺族の生活は気になりました。🙏
と色々文句を言いましたが、
個人的に好きだったのは、
終盤で小澤征悦さんをはじめとした農家に転身した武士と再会するくだりです。
農家らしくみんな日焼けして顔が黒いのは演出のこだわりを感じましたし、🧔🏽
何より、このfilmarksで"勝ったのは農民だ”と名乗っている身として、農家も立派な職業の一つとして描かれているのは良かったです。🌾
人足や商人もそうでしょう。
この手の時代劇ではよくあるテーマなんですけど、やっぱり時代劇で現代社会にも通じやすいテーマを描くとなると、経済面や職業的な題材になりますね。
元々の『忠臣蔵』を知らない人がこれからどんどん増えるなかで、経済面から忠臣蔵を描いた『決算!忠臣蔵』が作られたように、時代劇は時代によって変わるんだと思います。
そしてお題となるネタが尽きた頃に、どういう時代劇が流行るのかは気になります。