勝ったのは農民だ

BLUE GIANTの勝ったのは農民だのネタバレレビュー・内容・結末

BLUE GIANT(2023年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

【『スラムダンク』では三井寿君よりも神宗一郎君が好きです。】

※今回もかなりネタバレします。
未見の方は読まないことをオススメします。🙇


自分は『スラムダンク』🏀で一番好きなキャラクターは海南の神宗一郎君です。
読んでない人のために簡単に説明すると、“めちゃくちゃ真面目に努力した優男“です。

逆に(これを言うと彼のファンからひんしゅくを買うと思いますが…😞)三井寿君はそこまで好きになりきれません。
これも簡単に説明すると、三井君は“才能はあるけどワケあってしばらく不良になっていたキャラクター“です。

彼らが同じポジションでマンツーなのは「努力VS才能」ってすごく分かりやすい構図でもあります。

そして、三井君は主人公のチーム(湘北)に属していますが、もし主人公チームが神君の所属する海南なら、湘北じゃなくて普通にそっちを応援していたと思います。📣

そんな感じで相手チームにも感情移入できる、相手チームが悪役になってないのが『スラムダンク』の好きなところでもあるんですが、

根本的には努力量が多い方を応援してしまいます。

ただその反面、

そういう考え方にこだわると、新しく始めた人の努力を否定することにも繋がるんじゃないか❓

って疑問も常に感じています。

それこそ主人公:桜木花道🌸なんかは高校一年からバスケを始めた以上、どうしても努力してきた期間は短いんですが、そこを否定していては名選手も名作も絶対に生まれないでしょう。

つまり単純に「努力VS才能」って構図で映画を考えるのも良くない、「努力出来ることが才能だ。」とも言いますからね。


神君だって、海南の高頭力監督から
「彼は内に秘めた闘志と、綺麗なシュートフォームを持っていた」と評されていますから、才能が0ってわけじゃない、むしろすごい才能の持ち主だって近年になってようやく再認識しました。

間違ったフォームで何万本とシュート練習するのは無意味よりも悪いでしょう。🏀


例えば、
自分が人生ベストの一本に挙げる『ショーシャンクの空に』🕳️なんかは、
“地道にコツコツとした努力“をしないと絶対に無理なんですが、あのティム・ロビンスだってあれが正しい方法だから成功したわけで。

或いは『ジョーカー』🃏のホアキン・フェニックスはその逆パターンですよ。
彼は真面目に努力しようとしてるけど根本的に笑いのツボが世間とズレてるわけですから観ていてつらいです。彼にはお笑いの基礎を教えるNSCみたいな養成学校が必要です。


🎷🎷🎷🎷🎷🎷🎷🎷🎷🎷🎷🎷🎷🎷🎷🎷🎷🎷🎷🎷🎷🎷🎷🎷🎷🎷🎷🎷

【音楽もいいし、演出の手数がめちゃくちゃ多い、LIVEシーンはド迫力でした。🎷🎹🥁】

前置きが長くなりましたが、
今作『BLUE GIANT』🎷は結論としてはすごいよかったです。👏
「どうせいいんだろうな」と思っていたその高めの期待値ハードルを更に超えてきました。

原作漫画は山岳を描いた『岳』⛰️と同じ作者:石塚真一さんなのはなんとなく理解できます。
題材こそジャズですけど、基本的にはスポ根アニメのサクセス・ストーリーだと思いました。

自分はジャズの世界は全然知りませんが、すごく分かりやすい、
それこそ、バスケ部とか学生時代に団体競技を一生懸命していた人なら何にも心に刺さらないってことはないと思います。💘


特にLIVEシーンはド迫力でした。🎷🎹🥁
音楽ももちろんいいし、
演出の手数がめちゃくちゃ多くて飽きませんでした。
劇場鑑賞したかったです。
最後は泣けます。😭

🎹🎹🎹🎹🎹🎹🎹🎹🎹🎹🎹🎹🎹🎹🎹🎹🎹🎹🎹🎹🎹🎹🎹🎹🎹🎹🎹🎹

【やっぱり映画は総合芸術です。】

立川譲監督はすごいです。
自分はTVアニメ「モブサイコ100」を観た時、その手間と映像技術にびっくりしましたけど、今作もそれは健在でした。👏

それにしても、
劇場版映画で『名探偵コナン』シリーズで過去1の大ヒットを飛ばした『黒鉄の魚影(サブマリン)』と、今作『BLUE GIANT』が同じ2023年に公開されてどっちも高評価なのはすごいです。

あんまり自分の作家性を出すような監督じゃない、どちらかと言えば職人監督的なポジションなんでしょうが、

それでも作品の映像技術に関してはものすごい熱量を持つ監督だと推測します。アシスタントさんも相当頑張ってるんでしょうね。

特に随所でシリアスモードになる時の顔の影の線がいいですね。(原作漫画は未読ですが…)

それから音楽です。
日本アカデミー賞の受賞&ノミネートの選考には色々と思うところはあるんですが、
少なくとも今作『BLUE GIANT』の上原ひろみさんの最優秀音楽賞の受賞については納得です。🎼
確かに音楽がダメだったらこの映画はぶち壊しですからね…😅

それに
・山田裕貴さん(役:宮本大君)
・間宮祥太朗さん(役:沢辺雪祈)
・岡山天音さん(役:玉田俊二)

主人公3人の声はみんな人気俳優さんなんですが、全然違和感は無かったです。知らないと分からなかったです。

やっぱり映画は総合芸術です。

🥁🥁🥁🥁🥁🥁🥁🥁🥁🥁🥁🥁🥁🥁🥁🥁🥁🥁🥁🥁🥁🥁🥁🥁🥁🥁🥁🥁

【3人のそれぞれの成長が見られて気持ちよかったです。】

あと、主人公3人が、なんだかんだ言って基本的に3人ともかなり仲が良いと思いましたね…
。そこも気持ちよかったですよ。😄

主人公であるサックスの宮本大君はずっとブレない努力家ですが、

ピアノの沢辺雪祈君が最初は嫌な人なんです。⤵️

4歳からピアノ🎹を始めてるわけですから、当然彼自身は長く努力もしてるんですけど、
「才能が全て」みたいなことを言われるとなんか感じが悪いんです。
そんな人がいつか壁にぶつかる感じって、ちょっと『スラムダンク』だと流川楓に似てると思いました。🏀

でも、彼の豆腐屋のおじさんに謝りに行くくだりとかは成長が見られて好きです。
最後のLIVEであの女の子もちゃんと来てくれたり、
エンドロールの後の本当のラストも彼の将来の希望が見えて気持ちよかったです。

そして、

ドラム:玉田君は『スラムダンク』に例えるとしたら、もちろん主人公:桜木花道🌸でもありますが、同時に赤木剛憲(ゴリ)🦍でもあるんでしょうね…。
元々は大学でサッカー⚽️のサークルに所属しているけど、どうも熱量が周囲の人たちと違って浮いてちゃう感じって赤木剛憲と似てる気もします。

あと、他の2人だけじゃなくて、
彼の成長も見ていてくれる、
頑張っていることを見てくれている、
あのお爺さんもよかったです。


本当のことを言うと、
・一応バスケ部🏀だった宮本君とサッカー部⚽️だった玉田君がなんであれほど仲がよかったのか❓
と、
・玉田君がドラム🥁を始める動機がちょっと弱い

みたいな疑問もあるんですが、
そんな細かいことは置いといて、
とにかくよかったです。

『THE FIRST SLAM DUNK』を観た時に「たっぷりといい試合を観たなぁ」って思いましたけど、

『BLUE GIANT』は「たっぷりといいLIVEを観たなぁ」って感じです。
もちろん人生劇場としても泣けます。😢

また観ます。