めかぽしや

沖縄スパイ戦史のめかぽしやのレビュー・感想・評価

沖縄スパイ戦史(2018年製作の映画)
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陸軍中野学校の存在を全く知らなかった。
そこは特殊なスパイ教育を受ける所でした。

1945年4月に米軍が上陸し
民間人を含む20万人余りが死亡する
激戦地となった沖縄。
陸軍中野学校で教育をうけた特殊なエリート青年将校が
沖縄の10代半ばの少年達を中心としたゲリラ戦、スパイ戦を行う護郷隊を組織したことも知りませんでした。
今でいう少年兵です。

本作はその少年達の証言を丁寧に集めて
ます。
監督の1人三上智恵さんは
ニュースキャスターでもあるので
語りがとても分かりやすく、
とても重たい話も幾分爽やかに
聴く事ができました。

そして、護郷隊の話ばかりでなく
軍命により波照間島から当時マラリアの有病地帯だった西表島に強制移住させられ
島民の三分の一にあたる500人が病死してしまった戦争マラリアの影にも
陸軍中野学校出身の将校が絡んでました。

住民が敵に捕まるとスパイになると
恐怖に支配された日本兵の敗残兵たちは
地域の有力者や学校の校長をあつめ
国土隊という秘密組織を作り
住民同士を監視させ密告させる役割がありました。
そこで作成されたスパイリストと住民が虐殺に手を貸しました。

結局、軍隊は自国民を守るどころか
利用し、疑い、虐殺しました。

国は国で兵隊の人命すらも軽視していた
戦争ですから民間人の命も軽視されていたのでしょう。


さて、昨今沖縄の離島にも
自衛隊の配備が進んでます。
反対する人も勿論賛成をする人も
います。
色々な意見がある中、わたし自身が
沖縄に住んでいる訳ではないので
何も言えませんが
少なくとも戦争を知る人たちの意見は大切にすべきです。
辛い記憶と共に生きてきた人たち。
フライヤーに
「もう、忘れていいよ。わたしがここで覚えているから」
と書かれた言葉が突き刺されます。
本作を観る事で戦争の記憶を担う事ができるのではないでしょうか。
めかぽしや

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