ちくわ

孤狼の血 LEVEL2のちくわのレビュー・感想・評価

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)
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映画を観てから一晩明けた後、感想がガラリと変わることはよくある。この映画の場合もそうだったな。 
観ている最中も、興奮し通しとはいかなかった。期待度が高すぎたかもしれない。

どす黒い映画だった。だが今村昌平の映画のような心に深く突き刺さってどうにも抜き取れないような不快感ともトラウマともつかない「何か」が植え付けられる事はなかった。
俳優の普段の顔を知っているからとか、技術的な云々カンヌンのためであるとか理由は様々かもしれないが、
自分が求めているような要素のなかにはどこかメタ的なものも含まれており、それはもはや映画という領域を超えた神がかり的な現象であるとも思えるから、
目の当たりにする事はなかなか無いんだろうなぁ。

エンタメ映画は狙いを正確にするために
どこかに制御がかかってしまうものだから。

地味とか派手とかいうモノサシでは測れないなにか。

前作が自分の好みと相性が合うのは何故なのか、ずっと考えてる。
まず、広島は良いところだ。海があって山があって、愛嬌のある人がいっぱい住んでいて。映画を観た上での印象です、広島には一度も行ったことがないです。
それなのに情緒が伝わってくるのは、
丹念にそれを伝えようとする映画の作り手たちの心があったからな気がする。そして同時にギラギラした時代への憧れがこもっていた。

あまりに形として良く出来ていたが、
2作目を作るなら逆にそれをぶっ壊すしか無かった。それはそれで良いと思う、でも思い切りやってくれなくちゃ。続編の厳しさだ・・・。

線の細いナイーブな雰囲気のモノが大量に流行する今のこの時代にこれをやるかという、逸脱感が痛快極まりなかった、それは本当に貴重なことだったんだから。

こごまできて野暮ではあるが書きたくなってしまった、
今回の違和感の理由のひとつとして役の采配はやっぱりデカい💦 明らかに主要の俳優たちの年齢層が若すぎる、その一人である「あの方」、なぜこの女優(?)がこのポジションで、という疑問は観る前も観た後もずっと点滅している。
確かなのは呼び込む客層をどこに絞ろうかという思惑が透けて見えるということだ。

耳に心地良かったはずの呉(原)弁が、どうもイントネーションが気にかかる。鈴木さんはさすがだったが。
上原というキャラクターはプロットで言うならば分かりやすすぎる内面を中盤から後半にかけて開けっ広げにしてしまったりなのは本当、中途半端で勿体ないと思ってしまうが、頭ごなしに悪い、ダメと言い切ってしまうとそれも違うのでモヤッとする。
ちくわ

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