《なにより鈴木亮平》
【イッチャッテル】
１作目は好きだったが今作は見るのを先送りしてた。でも「エゴイスト」での鈴木亮平の演技が凄すぎて、彼がアカデミー最優秀助演賞を受賞した今作にも興味が湧き、即鑑賞。
結果、ヤべぇ。鈴木亮平、イッチャッテル。本当にすごい俳優。「エゴイスト」では＂そこに生きている説得力＂。今作では＂振り切れた圧倒的怪演＂。まさにカメレオン。今回の役は感覚的にヒース・レジャーのジョーカーにも近い。
【１作目と比べて】
「警察から見たヤクザという組織」という視点が１作目の面白さでもあったが、今作は組織内部からの視点がかなり増えた。鈴木亮平演じる上林に焦点が当たっている事に加え、チンタというキャラの存在も大きな要因。特にチンタのお陰でより感情移入しやすいドラマになったと思う。２人とも主役の日岡よりもウエイトが大きかった。
【日岡】
大上が乗り移ってる。無意識に追いかけている大上という亡霊が偉大過ぎて、後を継いでいるようで空回りもしてる感じがとても良かった。
【俳優陣】
鈴木亮平だけじゃ無く、やっぱりこのシリーズは誰見てもすごい。特にチンタ役の村上虹郎が好演。彼の演技のお陰で物語に心を掴まれた。そして、ヤクザものをあまり見ない自分にとっては、かたせ梨乃のすごみを改めて感じた。あと、吉田鋼太郎の＂小物感＂も面白い。彼はインタビューで「ポスト役所広司の役」をもらったと勘違いしていたそうで、ちょっと微笑ましい。
【印象に残ったシーン】
特に好きだったのが、追い詰められたチンタが階段を這い上がるシーン。彼のゆく手、階段の上には上林の乗ったバイクが到着。かっこいい構図かつ結構絶望的な絵面で好きだった。
【ただ、】
やっぱり上林は凶悪なヤクザというよりサイコパスにしか見えなくて…。アメコミのスーパーヴィランか！？と。演技のせいでは無く、そもそものキャラクターが。ちょっとぶっ飛び過ぎてて、作風も変わってしまったような気がして、＂「ワイルドスピード」は1作目が好きだったんだよなぁ＂に近い感覚を覚えてしまった。
【総括】
なにより鈴木亮平。それが今作の魅力。お陰でヤクザ内部のドラマや見せ場も増え、かなり派手な作品に。ただ、個人的にはそれ以上に前作のような「警察から見たヤクザ」という視点と、泥臭い捜査を描いた物語の方が好きだった。
にしても、相変わらずエンドロールがカッコいい。
