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GODZILLA 星を喰う者のシネラーのレビュー・感想・評価

GODZILLA 星を喰う者(2018年製作の映画)
2.5
第一章、第二章に続き、
アニゴジ三部作の完結編である
本作を再鑑賞。
壮大なSFゴジラ三部作の完結編だが、
前半までの盛り上がりが
ゴジラがギドラと対峙し始めてから
失速してしまったように感じる映画だ。

メカゴジラシティの敗北によって
ハルオ達はゴジラへの打開策を失う中、
異星人エクシフでハルオを導いてきた
メトフィエスはその信仰の神である
ギドラを地上に降臨させ、
星を喰らうギドラにゴジラとハルオが
相対していく完結編となっているが、
人類の手に負えない怪獣達を
どう捉えるのかを描く内容だと思った。
人類の誕生はゴジラを生み出す為の
前座だったという談義やゴジラを憎悪の
対象でなく自然災害として捉えた会話劇は、
劇中通しての怪獣の意義が語られている
ように感じられた。
ギドラ降臨における宇宙船襲撃場面は
超常的な現象による絶望感があり、
「私たちもう死んでるの?!」と言う
乗員の台詞がホラー映画のようだった。
前二章までは人類の敵として
描かれていたゴジラだが、
本作に関しては人類視点でも
応援してしまうような立ち位置で
描かれているのは好きな要素だった。

しかし、物語が大きく信仰に関わる
内容であるが故に、
登場人物達のカルト思想的な変容には
単純さと気持ち悪さが感じられた。
その上でゴジラはギドラと
ハルオはメトフィエスと対峙するが、
ハルオの精神世界での問答展開は
劣化エヴァと思うところだった。
ハルオのメトフィエスに涙を流せる
程の関係性や感情にも、
いまいち理解ができなかった。
加えて、ハルオと良い関係となる
フツアの民の双子マイナとミアナだが、
ハルオと数日間で肉体関係になるのは
気の引ける描写でもあった。
永遠のライバルとも言える
ゴジラ対ギドラは、
過去作と比べてもスケールが大きく
超次元の戦闘となるのだが、
ギドラがゴジラに噛みついて以降は
代わり映えしない絵面が続き、
突破口ができてからの展開もあっさり
なのがとても残念だった。

色々と登場人物達の動向や怪獣の描き方
に不満がある完結編だったが、
物語としては主人公であるハルオの
ゴジラへの決着を描いており、
そこは人間模様が主軸の三部作で
描ききった点だと感じられた。
怪獣バトルを期待すると
残念な三部作と言えてしまうが、
ゴジラが登場するSFアニメとしては
三部作それぞれで人種ごとの
価値観の違いが感じられるシリーズだった。
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