ヨーク

モンスターハンターのヨークのレビュー・感想・評価

モンスターハンター(2019年製作の映画)
3.9
ざっとフィルマークスの感想を見ると割と低評価が多いのが信じられないのだが君たちどんだけ厳しいのよと思ってしまうよ、マジで。余裕で面白かっただろ、続編やるなら絶対観るぞ、むしろ続編のためにお前らみんな観に行けよ、というくらいの気持ちなんですがそれは少数派なのだろうか。
ちなみにゲームの『モンスターハンター』は初代しかやったことない状態で映画を観ました。まだPS2だったくらいしか記憶にはないのだが初代のモンハンは2004年らしく、さすがに昔すぎる上に完全ソロプレイでさらっとやっただけでどういうゲームだったかとかほとんど覚えていないので本作もゲーム版と比べてどうなのかというところは何とも言えないところはある。あるが、しかしだ! 俺はこの映画を観てからPS4のフリープレイで落とすだけ落としてずっと放置していた『モンスターハンター:ワールド』をやり始めたくらいには本作はグッときたのだ。いやだって面白かったじゃんこの映画。
あらすじはミラジョヴォ率いる傭兵部隊(多分どっかの国の正規軍ではないと思う)が謎の嵐に巻き込まれたら次元を越えてしまったのか何なのか、モンスターが闊歩する異世界に行ってしまいそこでミラジョヴォが生き残るために頑張るというお話。あと元の世界に帰るためにも頑張るって感じ。それだけ。
上で書いたように俺はゲームのモンハンのことはよく知らないが多分いわゆるJRPGを代表するようなドラクエやFFと比べたらストーリーの重要度は低いだろうと思う。それよりも重要なのは巨大な、怪獣といっても差し支えないような人知を越えた生物と知恵や肉体や道具を駆使して戦うということが醍醐味なゲームなのであろう。オンラインでの複数プレイの楽しさが人気の火付け役になったのもそれぞれ役割分担しながら巨大なモンスターをやっつける楽しさがあったからだと思われる。
それを踏まえた上で本作を観ればだ、ちゃんとそこの要素拾い上げて映画にしてんじゃんと思うわけですよ、俺は。いやゲームの方はよく知らないけどさ。異世界に飛ばされてしまったミラジョヴォ部隊が冒頭から部隊全員で状況も把握できないまま未知の怪物と会敵するシーンが続くわけだからモンハンプレイヤーはこういうの観たかったんじゃないの? とか思うんだけど、やたら低評価だからそうでもないんですかね。個人的には超面白かったのに。
まぁゲーム版に思い入れどころか知識もないので、ゲーム版のファンというよりも圧倒的に映画ファンとして観てしまうのは仕方ないところではあるのだが、そういう映画好きな目で観たら本作はミラジョヴォVSトニー・ジャーが観られるだけでもお釣りくるだろうとは思う。しかもVSだけでなくその後の共闘まであるのだぞ! もうそれだけでチケット代以上のものはあるだろう! と思うのだがゲームファンのみならず映画好きの間でも本作はいまいちな感じの評価になっているようでそこが俺には分からんよ…。何なんだよ君たちは。ミラ・ジョヴォヴィッチとトニー・ジャーが一緒に戦ってるのにテンション上がらないのか? あれか? 現代兵器で歯が立たないモンスターに対して刃物でダメージが通ってしまうのが腑に落ちないとかそんなのか? まぁそこは俺も失笑ものではあったと思うがそういうの気にしてたらミラ・ジョヴォヴィッチ、もといポール・W・S・アンダーソンの映画なんて観れたもんじゃないぞ。あとついでにどうでもいい豆知識を書くとミラ・ジョヴォヴィッチは正確な発音的にはミラ・ヨヴォヴィッチが正しくて本人もそういう風に呼んで欲しいと言っているからファンの人はヨヴォヴィッチと表記するようにした方がいいと思うぞ。俺はそこまでファンではないからジョヴォヴィッチでいきますけど。
映画の話に戻ろう。まぁ本作の主な不評な部分は上で書いたようなアクション面の部分ではなく、おそらくびっくりするくらいにあからさまな第1部完って感じで締められていたからというのはあると思う。ややネタバレにはなると思うけどそうなんですよ、この映画キレイに終わらないんですよ。よくジャンプ漫画が打ち切りになったときに揶揄されるようないわゆる「俺たちの戦いはこれからだ!」エンドってやつですかね。まぁ本作の場合は打ち切りというよりも次回作に繋げやすくするため(というか下手したらもう次回分も撮り終えてんじゃないの? とすら思う)に広がりを持たせたまま終わっているんだと思うが、一本の映画としてお話は非常に中途半端な終わり方をしているのでそこに不満を持った客は多いのではないだろうか。ぶっちゃけ冒頭のミラジョヴォ部隊の件とかミラジョヴォVSトニー・ジャーを端折って即ミラジョヴォが大塚明夫(ちなみに吹き替え版で観ました)と合流するようにすれば塔の秘密がどうだとかの部分も全部一本の尺の中に納められただろうとは思うが、思うが冒頭のミラジョヴォ部隊のシーンはともかくトニー・ジャーのシーンを削ったらこの映画の価値は著しく損なわれるからね! だからこれで正解。ダラダラとミラジョヴォとトニーのシーンを観せてくれてよかったのです。
だって俺トニー・ジャーがこんなにちゃんと芝居してるの観たの初めてよ。『マッハ!!!!!!!!』では戦ってただけだし『トム・ヤム・クン!』では戦いながら「象を返せ!」って言ってただけだったのに本作では異世界人だから言葉の通じないミラジョヴォとバトルを経て身振り手振りだけで意思疎通して最終的には背中を預けられるような戦友になるのよ。トニー・ジャーってちゃんと芝居できるんだ…ってびっくりですよ。直近で観た『JIU JITSU』ではアクションだけで芝居を見せるシーンは全然なかったからね。そこをガッツリ観られた本作は素晴らしいですよ。なんかトニー・ジャーを堪能できたから良かったというそれだけの感想になってしまった気もするが、まぁそれはそれで事実だからいいか。
あ、でも他に良かったところといえば本作は上記したようにモンハン世界が異世界で我々が住んでいる現実の世界も別にあるっていう設定なんですが、多分神隠しな感じでたまにマレビト的に両者の世界を行き来する存在もあるみたいでモンハン世界に行くこともあればモンハン世界から現実に来ることもあるっていうのが良かったですね。具体的に言うとモンハン世界のモンスターが現実世界に紛れ込んで戦闘ヘリとバトルするシーンがあって、それはゲームファンも予想できなかったサプライズなシーンなのではないだろうか。あのシーン超テンション上がったよ。最高にバカ映画って感じで良かった。
バカ映画といえばそのシーンでの一場面だけど、ミラ・ジョヴォヴィッチくらいになると乗ってたヘリが墜落しても何食わぬ顔でヘリの残骸から出てくるしそれをおかしいとも思わない自分がいて、もはや彼女はシュワルツェネッガーやスタローンの世界に足を踏み入れているのだと思いましたね。そんなミラジョヴォとトニー・ジャーが共演してる映画なんだからつまんねぇわけねぇんだよ。めっちゃ面白かったよ。
この感想文を読んでちょっとでも興味を持った人は劇場に行ったりソフトを買ったりしてほしいですよ。人気が出てバイオハザードのように長期にわたるシリーズものになったら、それは安定的にトニー・ジャーのアクションを劇場で観られるということに繋がるんですからね。そこは重く受け止めていただきたいですね。
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