どーもキューブ

3-4x10月のどーもキューブのネタバレレビュー・内容・結末

3-4x10月(1990年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

(注意レビュー長めです。)

ビートシネマ武リズム

最高傑作の呼び名も高い本作。
タケシ軍団
石田ゆりこ
故とかちゃん
ベンガル
故ジョニー大倉、
豊川悦司(名演助)と脇はタケチャンの馴染み率多し。見た当初「もーおわっちゃったの!」と思った。
武のリズム。ほ゜んぽん飛びまくるタケシのフィルムビートが今作の魅力である。
もしかするとおいてきぼりにされる可能性も十分にあるのだ。このリズムは五作目の「みんなやってるかー」まで継承される。やくざのタケチャンの蹴り、発砲のリズムも衝撃。沖縄の花をあしらう姿。スローモーションの奇麗な砲撃。フリスビーは「ソナチネ」につながる。省略とスローなビートフィルムタケチャン映画だ。2008年9月5日レビュー

追記
とにかく期待値ハンパなかったので、その落差に驚きすぎて、むしろ嫌な感じさえ見た当初思ってた。まだまだビデオスルーの北野武映画の時代。本作もビデオ屋でしつこく待った記憶。
前作の処女作男凶暴につきは、 私の80年代邦画ベストに近いバット殺人衝撃映画だった。
なんで、あまりにもこのたんたん満塁逆転ドーパミン島映画を好きになるのは、
タケチャン映画好きのキタニスト達が、こぞって本作をあがめる、愛でる文を見たり読んだりしてからだった。ノーパン映画でもある、カメラ移動の少ない映画だ。タケチャンが畑でオレンジ色の凶暴そうな花を頭にまいて出現したとき、鬼かと思った。頭に花は、「ソナチネ」でも寺島進にやらせていたが、カットされていた。私はこの逆転爆睡映画を年数かけて、好きになっていった!
ビートタケシリズム、これをみれば、芸能人映画ではなく、世界のキタノといわれる。そっけない野球盤のような彼等のふるまいにあなたは、何コレ?意味わかんない。なのか凄いすごすぎる!
なのかジャケにある金属バットで、脳内破壊してみてください!2作めのタケチャン映画です。きっと意味わかんなーい、って方が多い気がするけど!
2016年8月3月レビュー。



北野武の真の第1回監督戦、3-4X野球場のヒットエンドラン




1990年
協力オフィス北野
製作奥山和由。
監督脚本北野武。



今や世界の「キタノ」となった北野武監督。

若き日はバラエティと並行して映画監督をしていたが、今やタケチャンもかつて出ずっぱりからやや隠居気味のテレビ具合。小説執筆や数年に1本ペースで映画を撮っている。

本作「3-4X10月(サンタイヨンエックスジュウガツ)」
北野武監督2作目だ。
当時ビデオで見てかなり、かなりびっくりしたし「え~!これだけか~」と思った。レンタルに苦戦しビデオ屋で待った思い出あり。それほど借りるのに苦労した。

処女作「その男凶暴につき」が物凄く突き刺さり、2作目のタケチャンが「その男」のノリを物凄く期待したのだが、なんだか見たら全然別物。いつもの「スーパージョッキー」に出演のタケシ軍団ばかり。内輪で作りました感に当時がっかりした。

ところどころ引っかかった省略や処女作で魅せた暴力が垣間見れたが、タケシ軍団に囚われた感じがあり。微妙だと思いすっかり疎遠、無視する感。

だが、時経過するうち、本作の評価があがる。雑誌、北野武本など軒並み絶賛。芸能人ファン多数。なかでも「最高傑作」との評が出てきて結構びっくりした。

時たち本作を購入。北野武フルコンプリート目前(3、4、5本あるけど、。)バンダイDVD鑑賞した。多分見るの3回目。



いやあ凄い作品だなあと、。普通に考えて「芸能人映画監督」2作目なんだけど、恐ろしいほどの「省略」。省き方の突然さに驚くばかり。これが出来「た」のが凄い。

もう前フリの台詞。観客置いてけぼりの「落ち」の省略を連発する。これが凄い。波いる芸能人監督とは違う北野武の感性であるなあと。
例えば
最初のバイク屋芦川誠がバイクを売るシーン。
茶髪不良の兄ちゃん。
バイク納車のよう。

「ヘルメットいらないって。」と芦川、柳ユーレイにクスッと伝える。
芦川の説明をよそにブンブン走らせ行ってしまう兄ちゃん。
突然顔面血まみれの兄ちゃんの顔。
引きの絵で血まみれ兄ちゃんが道路に座りこみ、転んだバイクが映り込む。
どうやら「事故」った様子。これが北野モンタージュ省略だ。
これが北野武の「感性」だ。

ふらなきゃはじまらない柳ユーレイが
ふったかどうかは、わからないバットをふりはじめる。タケチャンの「おまえも!降れよな!」と言われてる気がした、俺に。
本作ユーレイは、ヒットアンドランし過ぎて、追い越しアウトになるが、。物語もそんな感じに展開。ルール無視した暴走ヒットアンドラン。


物語は、タカ兄貴が絡む抗争ものになり、拳銃を手に入れるべく宮古島へ行く。
さて?みたいな話し。

お話は至ってシンプル、絡まれた男に銃買って復讐するだけなのだ。

タケチャンの抜群なカットセンスに漂いながら、
びっくりさせられながら、冷や冷やしながら、
タケチャン扮するおかしな男とトカチャン扮する弟ぶんを挟んで
、ラストに至る話。

野球場から野球場へ帰り、
本作の物語は、本質同じ「ソナチネ」に引きつがれていく。

本作殴り込みの事務所が「ソナチネ」の爆発事務所と建物外見ほぼ同じなのも分かった。

タケシイズムでいわれるキタノブルーも出てくる。
浜辺のシーン。
なぜか黒人女性。
そして「浜辺の野球」作家キタノモンタージュが出る。

ジョニー大蔵が出る銃撃もひたすらスローの固定画面とより画面の2画面なカット。絶対的にカメラワークしない初期の作風だ。

タケチャンは、映画本で「ダイバード」なんかカメラで追って銃撃やると目に心地良くなんにも頭に残らないと言ってた気がする。
その「アンチ」を初期は、繰り返していたと思う。
つまり
痛々しく
印象に残り
暴力を見た余韻を残す
北野バイオレンスだ。

タカ兄貴とベンガルの「イグチさん」喧嘩のしつこさを見よ!
完全「その男凶暴につき」のトイレビンタシーンの応用編に見えた。
初見時「またきたあ」と思った。

トカチャンの将棋コマで指叩きシーンや痛々しい暴力は、こちらが呆然とするほど突然だ。

タケチャン兄貴の女をいたぶりを見よ!見てるこっちが超引く殴りだ。少なくとも5発以上15発以内やっている。実際にガチ殴りだから痛そう。見てるこっちが引くのだ。

本作にほぼ喋らないヒロイン、石田ゆりこの存在。かわいい、話さない、ついてくる。まさしくユーレイのように妖精のように柳と運命を共にする。

省略とスローと暴力で魅せる。野球と砂浜とドンパチで展開する。脚本野沢尚の1作めにはない北野武が描きたかったテーマが現れている。だからこそ「真の処女作」と言われる理由がわかる。

いかにもすぎる小沢仁志は言わずもがな怖い。

キャストの井川比佐志、豊川悦司の意外性は、「アウトレイジ」シリーズで爆発。

ふせえりが若いこと。こちらもあまり台詞が無いが、タカ兄貴には寄り添っている。

ラストの素晴らしすぎる過剰な爆発に我々もびっくりする。

そして終わったようにみせて、暗闇から柳ユーレイの顔面が分かりにくくみえたら、野球場に戻るラスト。それが続きか始まってないのか、観客には提示されない。

響くのは野球をする人達の声。音楽はひたすら無し。だが、ラジオや民謡や野球場の声がきこえる。
映画的音楽は皆無の2作目。

製作奥山和由は、松竹で勿論非難あびたそうだ。

見終えた感想は、誠にしっかりとした以後北野武映画に出てくるテーマが全て出てきていた。
野球、銃撃戦、コント、怒号、なぐり、キタノブルー。

私は結局、6番目くらいに好きな作品ですって低っ。いやあ本作の一見軽そうに見えて、笑ううちに暴力の波にうたれる感覚に漂った。


さて
3-4X野球場のヒットエンドラン

北野武ファンは、マスト必見!

2019年8月レビュー版
どーもキューブ

どーもキューブ