シノミー

岬の兄妹のシノミーのレビュー・感想・評価

岬の兄妹(2018年製作の映画)
4.2
こんなにきつい映画久しぶりに観た。

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妹の真理子がいなくなった。
自閉症の真理子はよくいなくなるが、夜になっても帰ってこないので探し回る兄の良夫。
岬の釣り人に保護されていた真理子を見つけて、掘っ建て小屋のような家に帰る。良夫は真理子の衣類が汚れているのを見つけ、側にお金が落ちているのを発見する。
身体を許し、金銭を得ていたことを知り、叱りつける良夫だったが、生活が苦しく、仕事を解雇されてしまう。
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公開してた時に観たかったんだけど、アマゾンプライムに来てたので、観たらまぁとんでもない。

最初は仕事帰りの電車で観ようとしたんだけど、開幕10分で即リタイアしてしまった。
人によってはミッドサマーとかより全然しんどくなるのではないだろうか。

むしろこっちの方がよりリアルで、現実味のある中身が詰まっていて、起こり得る結末なのだから、不快感は増幅する。

お金がなくなって、余裕がなくなって、どんどん追い込まれていって、電気も付かなくなって、ティッシュを食べ始めて、遂にその思考回路まで至る。
これを批判したいけど、そこまで追い込まれたことなどないから、何も言えない。

悪いことをしている、犯罪を犯している。というのはわかるが、そのベクトルで考えられる思考はもはやなかった。

誰が好きで妹を売春させるという行動にでるんだ。死ぬよりかはマシなのか。福祉を受けることもできたはずなんだが、恐らくこの2人はそんなことを考える余裕すらない。

ただ言えるのは、主演2人の演技力の高さで、実在するのかというほど、のめり込んでしまった。だからこそ、何故か感情移入できるところもあったし、嫌なシーンは吐き気を催すほど汚くて、辛く感じられた。

こんな映画を観てしまったら、他の映画ではエネルギーさに欠けてしまう。逆にこんな作品で溢れかえるようになったら、この世も終わりだと思う。

貧困をテーマにした作品は数多くあるが、ここまでしんどくさせる映画はなかなかないと思う。
それほど恵まれず、環境も悪く、人間の醜さに溢れている作品だ。

ラストは恐らく、解釈が分かれるだろうが、僕は確実にハッピーエンドではないと思っている。
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