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隣の影のharuのレビュー・感想・評価

隣の影(2017年製作の映画)
4.0
アイスランド映画。

庭の木のせいで隣人の家のポーチが日陰になるから剪定して欲しい、というどこにでもありそうな小さなトラブルから、お互いの疑心暗鬼へとつながり、監視がはじまり、感情や行動がエスカレートしていく。


ちょっとしたブラックコメディ的なストーリーかと思いきや、映像から音楽から展開から何もかもがひたすら“陰”を重ねていく。
笑えるシーンなどひとつもない。


2つの家族の姿が舞台に話が進んでいくのだが、ひとつひとつのトラブルは映画的というより妙に生々しい。

昔の恋人との秘密の動画が奥さんにバレたり、犬が庭にフンをしてたり、タイヤがパンクしてたり、猫がいなくなったり。

そんな小さなトラブルがループしながら、加速し、ある時超えてはいけない一線を超える。その一線を超えてからは、悪い方向への加速も速く、そして後戻りも修復もできなくなり、最悪のゴールへと猛スピードで突進していく。


一般的には人間関係にこの作品と似たようなトラブルは起こりうる。が、一線を超える前に思いとどまるから取り返しのつかない展開にはなりにくい。

しかし、その一線をこえたらあっという間にこうなるのだろうという、リアリティのある作品だったと思う。
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