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グラン・トリノのharuのレビュー・感想・評価

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
4.8
グラン・トリノ
2008年 / アメリカ

『頑固で口の悪い偏屈じいさんの、
愛情に溢れた優しい最期』

数あるクリント・イーストウッド監督作品の中で、最高傑作と言われるこの作品。


朝鮮戦争で多数の人を殺めたことで心が深く蝕まれている、元軍人の男ウォルト。
とにかく頑固で口が悪く、近づくもの全てに罵詈雑言を撒き散らす。
さらには極端な人種差別主義者ときている。

しかし妻を亡くし孤独に過ごす中、
新しい隣人のアジア系民族の家族との日々が、彼の心に徐々に変化を与えて行く。

とにかく誰にでも暴言を振りまく偏屈ジジイは、
誰よりも愛情に溢れた優しい男だった。


そして最高にクールでカッコいい「グラン・トリノ」は、
まさにウォルト・コワルスキーそのもの。

無理矢理盗んで自分のモノにしようとしても決して心は開かず、自分のモノにはならない。
大切に愛を与えることで少しずつ心を開いて行く。
表面的な愛情しか与えない実の息子たちと、
心から彼と向き合った隣人たちの対比がまさにそれと重なった気がした。

クスリと笑ってしまうような会話劇も、
シリアスなストーリーに心地よいアクセントを与えてくれ、
全編通して非常に観やすい映画でもある。

観る人を選ばない、
たくさんの人を感動させてくれる大傑作と言えるだろう。
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