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世界一キライなあなたにのharuのレビュー・感想・評価

世界一キライなあなたに(2015年製作の映画)
4.6
世界一キライなあなたに

2015年/アメリカ

6年間勤めたカフェが閉店することになり、
突然職を失ってしまったルイーザ。
ルイーザの父も失業中で、妹は単身で子育てをしながらも大学へ通うことを熱望。
そして祖父母と3世帯同居。

金銭的にすぐにも再就職先を見つけなくてはいけない状況で、就職センターで見つけたのは半身麻痺の青年ウィルの介護の仕事。
期間は半年間。

介護を続け、ウィルとの距離が縮まった時に発覚する
「尊厳死」という彼の望み。

ルイーザのウィルへの愛は、彼に生きたいと思わせること。
ウィルのルイーザへの愛は、彼女に幸せになってもらうこと。

2人の距離は近づき続ける一方で、
2人の思いは綺麗に交わることなく、
半年という残された時間は着々と進んでいく。

ただの男女の恋愛模様ではなく、
尊厳死という1つの大きな問題提起を掲げた作品。

原題は「Me Before You」
あなたと出会う前の私。
まさに障害を負う前の私。

誰かを愛するほど
未来に希望をもつほど
現実を受け止められず
過去に思いを馳せ、
その想いが強い分現実に苦しんでしまう。

過去の自分ならもっとかっこよく街を歩けたのに
過去の自分ならもっと仕事で結果を出せたのに
過去の自分なら愛する人に触れられたのに

朝起きるたびに
またその現実を受け止めるところから始まる。
その苦痛を和らげるのは
愛する人の存在なのか、それとも尊厳死なのか。

愛する人と一緒にいることが幸せの頂点なのか、
自分と一緒にいることで愛する人の幸せを奪ってしまうことは幸せと言えるのか。

普通の恋愛映画には詰め込みきれない量のメッセージや問題提起がこの作品には詰まっている。

間違いなく言えるのは、
お互いに愛し愛され抜いてたどり着いた
あのラストだから
観た人は皆、
この映画のテーマについて真剣に考えることができたと思う。

ストーリーとしての賛否両論はわかる気がする。

しかし、この映画の大きな目的が
1人でも多くの人に提起した問題について向き合ってもらうことであれば、
大正解で大成功な結末だったと思う。

#パトリックはかわいそう
#パトリックの件はルーが悪いよ
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