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ガープの世界のharuのレビュー・感想・評価

ガープの世界(1982年製作の映画)
4.6
ガープの世界

1983年 / アメリカ

子どもは欲しいが結婚はしたくない女性。
看護師の彼女は、
病院に運ばれてきた瀕死の負傷兵にまたがり、
子供を授かる。
そうして産まれてきたのが、
この物語の主人公ガープ。

出生前から独特なストーリーをもつ彼の人生は、それ以上に数奇な出来事の連続。

母親はウーマンリブ運動の象徴的存在となり、
実家は悩める女性や運動家の女性の駆け込み寺となっていく。

ガープは作家としてなかなか大成しない中、
購入した家に飛行機が突っ込んできたり、
大学院教授の妻が教え子と不倫をしていることを知り、子供を乗せた車で不倫現場に突っ込んで行ったり。

とある女性運動団体を批判するような本を出版し、命を狙われたりもする。

文字にするとただのめちゃくちゃな人生だが、
その人生を過ごす中で彼が溢す一言一言には、とても深い教訓のようなものがたくさんあり、
観ている者の心にグッとくい込んでくる。


「今日という1日はまるで一生を生きたような日だった。」

「引き潮には気をつけて。予期せぬところで足元を掬われる。」


女性運動団体の狂気的な思想への恐怖に目が行きがちではあるが、
やはりこの映画の本質は観る者への強いメッセージではないかと思う。


「毎日毎日を一生を過ごすように意味のある生き方をしよう」

「不意の出来事は、とにかく突然やってくる。何が起きても対処できるように、常に心は備えておこう」


捉え方は人それぞれだと思うけれど、
ただの変わった人生を送った男の伝記というだけで終わるには、
あまりにも勿体無い映画だ。


そして主演のロビン・ウィリアムズをはじめ、
出演している役者が皆とても素晴らしい。
個人的には、
性転換した女性を演じるジョン・リスゴーの怪演がとにかく印象的だった。

原作は未読だが、
彼らがこの作品をさらに素晴らしいものにしてくれたと確信できる。
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