戦争は実体験ではないし、自分にとっては伝え聞いた想像の世界。
それでも涙が止まらない。
鑑賞後の余韻が収まらない。
オリジナルの『この世界の片隅に』に新たなシーンを追加し再編集を加えた本作は、ただのディレクターズカットではなく、登場人物の心の機微に触れる深さが異なる別物と言って良い。
アニメーションのやわらかい線からは想像もできないほど、登場人物達の感情が生々しくリアル。この日常が現実のものであったこと、我々の遠い記憶に根ざしていることを自然と気づかされていく。
これは紛れもなく僕たちの祖父母の姿であり、もしかしたら自分自身の姿であったのかもしれない。
強く生きよう。
優しく、しぶとく、したたかに、日々を楽しみながら、強く生きよう。
近い将来、僕たちのような戦争を知らない世代だけになる日が来る。
だからこそ、過去を知り、家族を作り、未来へ伝えていくことは僕たちが生きる理由のひとつ。
生が愛おしくてたまらない。
そんな感情に満たされる傑作。
