はまたに

この世界の(さらにいくつもの)片隅にのはまたにのレビュー・感想・評価

4.8
待望の「全部入り」の片隅で。

38分も足せばやはり冗長に感じる部分もあり、物語としての伸びのあるストレート感は薄れた嫌いもあるものの、「こちとらそれが観たかったんじゃい! 」でご破算ってことで。

途中何度も畑にパシャパシャ水を遣るシーンがあって、なんとなく新藤兼人の『裸の島』を思い出しちゃったな。単一労働を延々と見せつけられているだけなのに、極度の緊張感がありどこまでも詩的な(人によってはスーパー退屈な)あの名作も、戦後の広島でかつ〇〇なくだりがあり、ずずさん同様乙羽信子も大地に怒りをぶちまける。本筋とは違うんだけど、生きる厳しさ食べる苦労はすごく通底しているように感じた。

…って書いてたら前回のこの世界の片隅にのときも同じこと(裸の島に似てるなー)レビューしてて、自分の成長なさ痛感したわ。まあ、人の感性はそうそう変わらないってことで。

ともあれ、「2019年の最後はこれで」の決意は成らなかったものの、「だったら2020年最初はこれで」は叶った良い映画初めでした。
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