kyoko

黙ってピアノを弾いてくれのkyokoのレビュー・感想・評価

黙ってピアノを弾いてくれ(2018年製作の映画)
3.8
チリー・ゴンザレスは「Solo Piano」で知っただけでそれほど聞いたことがあるわけではないけれど、アルバム「ソフトパワー」の日本版では彼の名前がカタカナで「ゴンゾー」と表記され、帯に書かれたサブタイトルがまさかの「権三がゆく」だったことは強烈に覚えている。

ベルリン時代の初期、地下で夜な夜な繰り広げられていたピーチズとのフリーラップは最高にかっこよかったなー。
クラシックとのコラボはウィーン放送交響楽団との共演もよいけど、カイザー・カルテットとの共演が素晴らしくて、帰り道amazonで「Chambers」をぽちっとしてしまった。
彼の兄は、映画音楽で有名なクリストフ・ベック。なかなかのイケメンで作る曲もそつがない。ゴンゾのぶっ飛んだ音楽性が生まれた要因にこの兄に対する反発やライバル心もあったらしいことは興味深いエピソードだった。
裕福なユダヤ人家庭に生まれた自分をどこかで揶揄しながらも、アウトサイダーというには隠しきれない真面目さやノーブルさがちらほら。エキセントリックな言葉とともに流れてくる音楽が驚くほど心地良かった。

でもタイトル通り「黙って弾いてくれよ!」とも思う(笑)
kyoko

kyoko