叔母から芸術の感性を磨かれた少年クルト。
「目をそらさないで。真実はすべて美しい」叔母の教えは、その後のクルトの人生に大きな影響を与える。
この映画はクルトが画家として成功する瞬間までの半生を3時間以上かけて描く。
見ごたえたっぷり。めちゃくちゃおもしろかった。
時代はナチ政権下。叔母は精神のバランスを崩したとして、安楽死政策によって命を奪われた。
それから数年後、クルトは恋に落ちる。彼女の父親は、叔母の安楽死の書類にサインした医者だった。
そのことをクルトも彼女の父親も知らない。見ている観客だけが知っているという構造。だからそれからの展開に何かが起こりそうで、ずっとハラハラする。
東ドイツから西ドイツへ逃亡。
義父の優生思想。
クルトの画家のしての苦悩。
ドラマは芸術論に発展していき、自分の芸術に悩むクルト。それを打開するのは、叔母のセリフだった。
とても劇的な展開で、そしてエロティックだった。
画家ゲルハルト・リヒターをモデルにした映画。見終わって、公式サイトを見るまで、クルトという画家の話だと思ってた。