Eee

ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語のEeeのレビュー・感想・評価

4.7
言わずもがな、傑作。

映画好きなら永遠に入り浸りたい空間、戻りたい、行ってみたかった時代、映画の中だけのキラキラした空間、鑑賞する者が心を乗り移らせて映画の中で泳ぎ回ってくれる登場人物たち。美術・工芸・物書きあらゆる芸術を詰め込んだ玉手箱みたいなものが映画だと思うのです。
それを具現化したような作品。

そしてそれを構成する演者も、まさに“今をときめく”希望や冒険心を感じる俳優たち。
シアーシャの輝く笑顔や涙を湛えた表情ひとつひとつに、とんでもなく響くものがある。ブルックリンでも感じたけど、神妙な面持ちというか、興奮と不安が入り混じる表情とか、そういうのが上手すぎて、胸がぐわぁっと鷲掴みにされる感覚。ほんと凄い女優さん。

女の子達がただじゃれてたり、お互いにおしゃれしあったり、喧嘩してたり、美味しそうなものに目を輝かせたりするあの瞬間を描きたかったのがよくわかるし、グレタガーウィグのアーティストとしてのその視点は常に一貫していて、臨場感のある喜びや感動がダイレクトに伝わってくる。

ずっこけそうなくらい全速力で駆け抜ける女の子が、グレタの女の子であり、自分自身なんだろうなぁ。

彼女の作品では、強いメッセージと一緒に愛情の塊のようなものがぶつかってくるのが本当に素晴らしくて、毎度よくわからないところで涙が止まらなくなったりする。
古典小説をねじ曲げすぎだの過剰なフェミ演出だの何だの言われてたけど、完全にこれのどこが???でした。時代とウィットと芸術をしっかり学んで欲しい。
原作に凄まじいリスペクトを感じるし、台詞全てがメモをとりたいくらい突き刺さった。
美しい映画。
Eee

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