小手先のCGやハイテクによる「見せかけ」でなく、有名俳優を揃えたスター映画でもない、本物を追求した映画。
スピルバーグや大ヒットを飛ばす原題の巨匠と言われる監督たちに、これが本物の迫力だといわんばかりの大作、フリードキン監督が魂を込めて蘇らせたのがこの映画だ。
観客も選ぶ。お気楽にエンタテインメントを求めてきた客はお断りだ。
公開当時カットされた冒頭では、主人公たちの事情を描いていく。たしかにわかりにくいのだが、これが重厚さを与える。
実際に南米で長期ロケをした映像も迫力満点で、いちいち緊張する。
何よりも、40年をかけてオリジナル版を復刻させたフリードキン監督の執念に驚かされる。
その狂気はヴェルナー=ヘルツォーク監督の『フィッツカラルド』やフランシス=コッポラ監督の『地獄の黙示録』をも思わせる。
上映当時の評価でなく、復刻までの時間をもふまえて観るべき(捉えられるべき)映画なのだ。
ロイ=シャイダー、かっこいい。男の中の男というより、(みんな)むさ苦しさ満開で、汚れていて、そこが良い。
追記:音楽のシンセサイザーが安っぽくて、日活ロマンポルノを思い出したが、タンジェリン・ドリームだったのね。うーむ。