綾野剛・佐藤浩市・杉咲花と実力派が揃っているだけあって作品そのモノが持つ重厚感や悲哀などは存分に表現されていた。
ある少女の失踪から始まった残酷な真実の物語と生きていく者・残された者の苦しみが迫真の演技から痛いほど伝わってくる。
ラストの結末然り、上辺だけで人を判断してはいけない事もよく分かる。
一方で、時系列が非常に分かりづらく本質がぼやけてしまう構成なのは残念。
そこがこの話の肝だと思うので、ウーンといったところ…
演出上のミスではないかな?と思うほど話があっちこっちに展開してしまうため、もう少しわかりやすい工夫があればなと感じる。
今作、おそらくこれらの点があまり評価の上がらない理由だと思う。
とはいえ、本筋として描こうとしている心情的な部分はとても深い。
物事や人物には普遍的な二面性があり見る角度によって、捉え方は全く異なる答えになる。そんな、過酷なまでの現実をひたすら紡いでいる印象。
偏見や欺瞞で人を見ることは、受け取っている側からすると生きることを諦めたくなるほどの苦痛を味あわせているのかもしれないというリアル。
共生社会で生きていく以上、今一度自戒も込めて、人との関係性を考えてみようという意識が余韻として強く残る作品だった。