全編着物や帯の柄にしたらどんなにかユニークで素敵だろう、と思うような絢爛で見事な絵ばかり。美大の油絵科出身というのが頷けるイラストレーター・イヌイマサノリさんの絵本の絵が元になっているらしく、アニメーションといっても動きは単純でおとなしいが、それでも絵本にはない光の輝きと動きと画面の大きさは強力な魅力だ。お話付きの特大の動く画集をゆっくりとめくっているよう。話はニジェールの砂漠や首都ニアメで暮らした経験を元に書かれた日本人女性の創作で、ニジェールで伝承されてきた民話という訳ではないらしい。中ではフージライトのお話が最も印象に残った。素晴らしい絵に合わせて、各話のタイトル文字をもう少し工夫して欲しかったところ。
それと、Filmarksのアイコンに選ぶ絵は、これではないのでは？ストーリーの中で見るにはよいけれど、この華やかな動く画集を代表させるには地味過ぎる。誤解されて見逃されるのは勿体ないかと。
