Cisaraghi

邂逅(めぐりあい)のCisaraghiのレビュー・感想・評価

邂逅(めぐりあい)(1939年製作の映画)
-
いつか観なければと思っていた、『めぐり逢い』の元の映画。こちらの旧作の素晴らしいところはそのままに、今ひとつな部分や足りない部分は改善し補い、18年経っているので時代に合わせるところは合わせて改作したのが、1957年のセルフリメイク版『めぐり逢い』ではないかという印象を受けた。リメイク版は30分近く長い。でも、監督のレオ·マッケリーはこちらの方が好きだったらしい。無からひとつの作品を生み出したオリジナルへの思い入れが強いのは、作者としては当然なのかもしれない。

大きく違うのは、シャルル·ボワイエが英語ネイティブではない外国人であること、ピアノ曲と歌の内容、有名なキスシーンの演出方法、くらいだろうか。それ以外は、細かい違いはあっても、設定・セリフ・演技・演出等、大きくは違わないように思えた。

アイリーン·ダンさん、歌はご自分で歌ってらっしゃるらしい。本格的!顔の大きいジュード·ロウにマイケル·ケインを足したような美男シャルル·ボワイエ氏、ミスター·スーツみたいなケイリー·グラントとは違って、背広姿より裃姿の方が似合いそうな、本当に立派なお顔と雰囲気。

コメディとしての面白さに勝る1957年版の方が私の好みだが、基本のストーリーは同じ。こちらでもしっかり泣かされた。1994年にもハリウッドでリメイクされ、インドには翻案された2作品があり、他にも数々オマージュや引用が存在する鉄板ストーリーである。

リマスターされてない映像はさすがに見辛かった。祖母ジャヌーの家があるのは、1957年版では地中海のヴィル·フランシュ·シュル·メールだったが、こちらでは大西洋のマデイラ島。ジャヌー宅を訪れる場面、特に光が差し込む礼拝堂での場面は1957年版より美しく、宗教的な印象も前作より強く、キレイな映像で観られなかったことが惜しい。それにしても、家の前からあんな遥か下の海と海辺の町を見下ろす絶景が見られるとは、なんと贅沢な…。
Cisaraghi

Cisaraghi