映像は美しいし、役者さんたちも職人芸的に丁寧に役をこなしてはいるのですが、ラストまで見ると、製作意図を理解しかねる作品。
たとえば、一時間前後の中編映画で、警部に少年がノートを手渡すあたりでエンドマークを出していたら、ちょっとこじゃれた感じの小品として楽しめたのかもしれませんが、長編として持たせるほどの中身があったかというと、そこらへんは違うんじゃないかという感じ。
主要な登場人物は、やっていることからすれば、一癖も二癖もあってしかるべきだと思うのですが、警部役のポール・ジアマッティ以外は、今一つキャラクターがつかめないというか、その割には、みんな、あくがなくて、あっさりした役造りで物足りないのですよね。
娯楽作品にしては華がないし、心理劇としてはあまりにも薄っぺらだし、ミステリーとしても、途中で先が見えてしまう。
この映画に出て得をしたのは警部役のジアマッティくらいじゃないかな?エドワード・ノートンにいたっては、ギャラが目当てでないのなら、なんでこんな映画に出たんだろう?と疑問を感じてしまいました。完成版を観ていたとしたら、がっかりしたのでは(笑)。
監督にしても、折角撮影はよく出来ているのだから、脚本は力のある人に任せたらよかったに・・・
いろんな意味で、惜しい、というか、もったいない作品です。劇場で観なくて正解でした。
(アンバランス 2010/1/15記)