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ジョーカーのmatchypotterのネタバレレビュー・内容・結末

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

ちょっとこれ、ホアキン、スゴ過ぎだろ。ヒースレジャーも“ゴッサム”が生み出した権化感がハンパなかったし、元祖ジャックニコルソンのインパクトも相当だけども、このホアキンの、ジョーカー本来の由来に迫るジョーカーではないショボい底辺の男からジョーカーになるまでの変貌たるや。

ジョーカーは、過去の作品でも色々な由来で描かれてる。口が実際に裂けてたり、色白なのが塗ってたり、劇薬で溶けてたり、親からの暴力だったり。今回のジョーカーはリアルに、現実的な手法で、そして、内面的にジョーカーになっていることが特徴的で、そういう意味では人間味があり、ひしひしと侵されていく感じで1番エグいかも知れない。

この精神的病と妄想と本来の狂気が混濁して、本人も周りも観てるこっちも何とも言い表せない、何が正しくてどうして良いかわからないまま少しずつ崩壊してタガが外れてしまって静かにイカれてく感じの流れがスゴい。秀逸。

アカデミー賞確実的な謳い文句で宣伝がなされているが、DCのアメコミ由来の作品でありながら、おっそろしい人間の業というか、裏切り、無関心、貧困、病、様々な要素が絡み合って、自ら、且つ周囲の環境含め、全ての歯車が噛み合ってしまった結果に生み出された存在として、しがない1人の男がバットマンの宿敵になるべくしてなる人間ドラマとして、ショーレースに絡んでもおかしくない鬼気迫るモノを感じる。
が、これが作品賞、もしくは、ホアキンが主演男優賞でも獲ろうもんなら、マジの暴動でも起きるんではないか、と思ってしまうわ。

最初はほんっとにしょーもない見た目で中身も朽ちてる弱々しい風体から、あの風格を纏うまで、ジョーカーのトレードマークと言っても良い“あの笑い声”を引っ提げ、狂った環境で生まれた狂った怪物をホアキンが完璧に演じ、イカれていくゴッサムシティとバットマンへと続く物語。

それにしてもタバコうまそうに吸うな。あれもあれでできそうでできないスゴいテクニックな気がする。
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