このレビューはネタバレを含みます
❶マッチング:やや消化不良。
➋ジャーナリストとしての使命に殉じた女性戦場記者、メリー・コルヴィン(1956-2012)の晩年の十数年にスポットを当てた社会派作品。
➌今年1月に公開された『バハールの涙(2018/仏・ベルギー・ジョージア・瑞西)』に登場した片眼の女性戦場記者マチルドはメリー・コルヴィンがモデルになっている。
❹2012年、シリアのホムス地区。内戦の過酷な状況で包囲されている28,000人の市民の苦境を伝えるため、戦火真っ只中の現地に乗り込んだメリーとカメラマンのポール。
情況が悪化し、現地のリーダーは、これ以上留まれば生きて帰れなくなると撤退を勧めるが、メリーはこれを拒む。ポールはメリーの為に一緒に留まる。
更にメリーは、衛星電話を使えば、居所を探知されロケット弾の標的にされるとのポールの警告を無視して、衛星電話でライブ中継を強行する。
ホムスの実情は世界に伝わり、アサド政権の嘘が暴かれたが、結果として、メリーとポールはロケット弾で命を失う。
❺エンドロールでは、メリー達の命を懸けた報道にも関わらず、「内戦は止まず、最終的に50万人ものシリア難民の命が奪われた」ことが示される。
❻メリー達の勇気ある行動は、大変立派であり心から尊敬する。普通の人には不可能であろう。
❼切羽詰まった情況下でのメリーの判断は、彼女にとっては唯一の選択だったと思うが、冷静に判断すれば、別の選択肢があったのではないかと思う。
❽結果論だが、メリーは一旦避難した上で、後日取材を継続した方が、効果が大きかったのではないかと思う。
そして、本作は、メリーに敬意を捧げると同時に、観客に他の選択肢を考えさせる目的もあったと思う。