Dick

ボーはおそれているのDickのネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
1.5

このレビューはネタバレを含みます

1. はじめに:アリ・アスターとの相性

❶アリ・アスターの長編監督作品中、日本で劇場公開されたものは本作を含め3本あるが、全作をリアルタイムで観ている。マイ評価は下記の通り。まだ本数が少ないが、良かったのは①のみなので、全体の相性は「中~下」。

①2018年 『ヘレディタリー/継承』 監督/脚本 ♥2018.12.鑑賞98点
②2019年 『ミッドサマー』 監督/脚本 ♥2020.02鑑賞 60点
③2023年 『ボーはおそれている』 監督/脚本/原案/製作 ♥2024.02鑑賞40~30点

2. 辛口レビュー◆◆◆ネタバレ注意

❶相性:下。
★現実世界ではあり得ない。誰か、多分、主人公ボーの妄想世界の物語。
★現実と妄想が混然となっていて、比喩的表現が多用されているので、知識と推理力がないと理解しづらい。

❷時代: 2022年の数日間。
★日付はセリフやテロップには出てこないが、セレモニーのパネルに表示されている。

❸舞台:特定されないがアメリカ。ロケはカナダのケベック州。

❹主な登場人物
①ボー・ワッセルマン(ホアキン・フェニックス、48歳):主人公。モナ・ワッセルマンの一人子。1975年生れの47歳。不安・心配・恐怖症でセラピーに通っている。都会に一人住まいのボーは、実家の母が急死したので里帰りしようとするが、命の危険を伴う幾つものトラブルに遭遇する。ようやく辿り着くと、死んだのは別人で母は生きていて、更には死んだと聞かされていた父も、いない筈の弟までいて、母によって監禁されていたことが分かる。激怒したボーは母を絞め殺してしまうが、次では、ボーが裁判にかけられ、復活した母が検事として、期待に応えられなかった息子を断罪するシーンとなり、最後はボーが爆死してしまい、全ては母モナの企みだったことが分かる仕組みになっている。
★このように要約を文章にするとロジックが理解出来るが、映像を観ているだけでは、想像力に乏しい小生には理解困難(涙)。
②モナ・ワッセルマン(パティ・ルポーン、73歳):ボーの母。有名で裕福な女性実業家。MW Industries のCEO。1949年生れ。2022年に73歳で事故死したことになっているが、実際は上記①の通り。
③グレース(エイミー・ライアン、54歳):ロジャーの妻。グレースとロジャーの車の前に飛び出してきたボーを撥ねてしまったので、自宅に運んで看病する。
④ロジャー(ネイサン・レイン、66歳):グレースの夫、外科医。グレースが轢いたボーを看病する。ボーの足にGPS付きのヘルスモニターを取り付ける。
⑤トニ(カイリー・ロジャーズ、18歳):グレース&ロジャーの娘。ボーに反発する。
⑥ジーヴス(ドゥニ・メノーシェ、46歳):グレース&ロジャーの戦死した息子の親友で帰還兵。PTSDを患い、グレース&ロジャー家の世話になっている。グレース&ロジャーの指示に従い、逃げ出したボーをGPSで追跡する。
⑦エレーヌ・ブライ(パーカー・ポージー、54歳):MW Industries の社員。モナ・ワッセルマンの葬儀の日に、ボーと再会し、激しいセックスの末、腹上死する。
⑧若き日の母親モナ(ゾーイ・リスター=ジョーンズ、40歳):10代のボーを連れてクルーズ旅行に出かける。
⑨10代のボー(アルメン・ナハペシャン、15歳):クルーズ旅行で知り合ったエレーヌと恋に落ち、大人になって再会するまで貞操を守ろうと約束する。
⑩10代のエレーヌ(ジュリア・アントネッリ、19歳):10代のボーとクルーズ旅行で知り合い、恋に落ち、自分の写真をポーに渡す。
⑪セラピスト(スティーブン・マッキンリー・ヘンダーソン、73歳):ボーの心療カウンセリングを担当。モナ・ワッセルマンとコンタクトしている。
⑫ドクター・コーエン(リチャード・カインド、66歳):モナの弁護士。
⑬ペネロペ(ヘイリー・スクワイアーズ、34歳):ボーが森で出会う劇団の妊婦。
⑭ボーの双子の弟:弟がいることはボーには秘密にされていたが、モナによって屋根裏部屋に隔離されていた。
⑮ボーの父:ボーはモナから、父はボーが生まれる前に死んだと聞かされていたが、実はモナによって屋根裏部屋に隔離され、今は、巨大なペニス様の怪物と化していた。

❺考察とまとめ
①現実世界ではあり得ない、妄想世界の物語が、主人公ボーの視点で描かれている。
②現実と妄想が混然となっていて、比喩的表現が多用されているので、知識と推理力がないと理解しづらい。
③描かれる映像も、観ていて気持ち良いものではない。
ⓐボーが住む町は、至る所に落書きがある、麻薬を吸う人がたむろしている、銃声が鳴り響いている、死体が放置されたままになっている等々。
ⓑボーが痛められ傷ついていく様子。裸のシーンも多い。
ⓒボーの父の巨大なペニスの怪物。
ⓓ銃の乱射。
④前2作(『ヘレディタリー/継承』、『ミッドサマー』)から、アリ・アスターは、「オカルト」、「悪魔崇拝」、「北欧神話」、「グリム童話」、「古代宗教」等の造詣が深いことが伺われた。
⑤本作も、胎内の羊水から赤ちゃん(多分ボー)が誕生するオープニングから、ボートが爆発してボーが水中に沈んでいくエンディングまで、「水」がキーの一つになっていることを筆頭に、「オデッセイ」他色んな要素が含まれているだろうことが伺われる。
⑥だから文献を読み、何度もリピートすれば、十分な理解が出来るのかも知れないが、そんな気力のない小生は、消化不良のままで終止符を打つ道を選んだ。それで良いと思う。
★2回観たが、2回目の方が印象が悪かった。1回目40点、2回目30点。
Dick

Dick