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プライベート・ウォーのrage30のネタバレレビュー・内容・結末

プライベート・ウォー(2018年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

戦場ジャーナリスト、メリー・コルヴィンの半生を描いた伝記映画。

本作の特徴としては、戦場での過酷な取材の様子と共に、コルヴィンの私生活の様子も描かれる事が挙げられるだろう。
『プライベート・ウォー』のタイトル通り、彼女の内面にある私的な戦いも描かれていく。

戦場ジャーナリストと言うと、勇敢で命知らずなイメージがあるが、本作のコルヴィンから受けるイメージはまるで逆だ。
酒やタバコ、SEXに溺れ、PTSDまで抱えては、「戦場中毒だ」とまで言われる始末。
戦場での度胸のある勇ましい姿とは反対に、私生活では依存体質で情けない姿が露にされる。

しかし、だからと言って、コルヴィンが弱い人間というわけでもないだろう。
戦場での悲惨な現実を見れば、誰でも逃避したくなるだろうし、心に傷を負うのも人間ならば当たり前の事だ。
彼女は心療施設で出産や加齢の悩みを吐露するが、それもまた1人の女性として当然の悩みに過ぎない。

この様に、本作のコルヴィンは特別な人間ではなく、あくまで普通の女性、人間として描かれる。
そんな普通の人間であるからこそ、彼女が信念と使命感を持って戦場に向かう姿に、ある種の尊さを感じるのではないだろうか。

正直、個人的にはもっと戦場での過酷な取材の様子を見たかったので、肩透かしに感じる部分はあった。
だが、コルヴィンが伝えたかった事は、戦場のスリリングさでも、派手な銃撃戦でもなかったはずだ。
彼女が弱き立場の市民に寄り添い、彼らの言葉を聞き伝えた様に、本作もまたメリー・コルヴィンに寄り添い、彼女の言葉を伝える作品なのである。
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