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アド・アストラのkenのレビュー・感想・評価

アド・アストラ(2019年製作の映画)
4.0
宇宙を舞台にした静かで壮大なSFストーリーである。宇宙飛行士役は初めてのブラピがどう演じ切るのか関心をもって鑑賞した。

宇宙軍上層部からの極秘命令でロイ(ブラッド・ピット)は、20年前に地球外生命体を探索するため海王星へと旅立ち消息不明となった父クリフォード(トミー・リー・ジョーンズ)を捜索することになる。

物語は淡々と進むもののブラピが常に登場しているため、ロイの心理的な表情の変化を追いかけることになる。ロイは非常事態でも心拍数は上がらない。ハードなメンタルトレーニングに励み心拍数の変動をコントロールする術を体得していると思うが、孤独に打ち勝ち任務を遂行することが生きることの全てになっている為、感情の起伏はない様だ。宇宙船内外で予期せぬアクシデントが発生しても、冷静沈着なロイの対処で困難を乗り越える。想定外の出来事が起きても、任務を全うする為、不本意な対処でもやり遂げる。

父親を連れ戻しに太陽系の果てまで来て、辛い真実を知る主人公。孤独な宇宙飛行士の心の葛藤と父子愛を垣間見れる秀逸な作品である。ラストシーンで別れたパートナーとやり直すことを決め、身近で大切な人との関係から愛情と思いやりを持って接することを心に誓ったはず。これは、宇宙飛行士だけの話でなく、普通に暮らしている我々にも言えることだと強く感じた。

ブラピの演技力は申し分なくいつも魅力的で惹き込まれるが、本作でもそれを十分に堪能することができた。
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