ベビーパウダー山崎

シャドーのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

シャドー(1982年製作の映画)
3.5
斧で手首が切断されて吹き出る血が白い壁を染めていく殺し、ある種の発明だし何度見てもアガる。タランティーノもお気に入りってのがよく分かる。アルジェント映画でしか見かけないダリア・ニコロディの気が狂った叫びで終わるのが最高。あの血の量と叫びをしつこく撮り続けるのが優れた作家。アルジェントは細身なのに体力がある。犯人探しはどうでもよくて、殺され方の豊富なアイデア。その美学。ヒッチコックばりに外側から壁を舐めるようなクレーン撮影。大変な手間をかけた割りには無駄すぎるが、その無駄への熱量こそが「映画」。
この物語(世界)に足を踏み入れてしまった者は死ぬか狂うか、誰も正気では帰さないという気概さえ感じる。そうなるとあの本こそ呪いの書であり、本をめくるシーンから映画が始まるのも間違いない。