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アマンダと僕のtaruponのレビュー・感想・評価

アマンダと僕(2018年製作の映画)
4.1
突然母を亡くした姪っ子と若い叔父が歩み寄って一緒に暮らし始める話・・・・・見たいと思っていたが、そんなバクッとした前情報だけで見たのだが、予想していたよりもはるかに重層的で心に触れる作品だった。(以下、若干ネタバレになる部分もあるので注意いただければ)





主人公ダビッドとアマンダは、突然、理不尽に姉であり母であるサンドリーヌを亡くす。その無差別殺人という亡くし方が、フランスを含むここ最近の状況を反映していて衝撃的だし、また理不尽に突然暴力的に襲いかかる死というものが、新型コロナが蔓延する現在の状況をも思い起こさせる。

突然で理不尽な死により大切な姉を奪われて、その上付き合い始めたばかりのレナ(とってもチャーミング)も怪我を負って田舎に帰り、ダビッドは自分の中の喪失感と向き合わなければならないし、母を失ったアマンダも守らなければならない。姉を奪った事件以外は劇的な事は何一つ起こらず、自分を取り巻く人達との日常の積み重ねを描いているだけなのだけれど、丁寧に描かれるダビッドとアマンダの日常がすごく美しく愛おしい。

また、アマンダが、何しろ可愛いしとても良い。
亡くなった母のものを片付けることを拒否し、昼は笑っていても夜中に不安になって泣き出したり。そんなアマンダがずっと叔父さんは傍にいてくれると確認して信頼と安心に満ちた笑顔を浮かべたり、ウィンブルドンの試合に心情を重ねていく表情とか。これがほぼ演技はじめての新人とは思えないくらい。こういう子役の子のパワーってすごいなぁと感じる。

アマンダとダビッドが新たに家族となっていく話のもう一方で、この映画の中では、ダビッドと出ていった母親との関係も語られていく。そこも重ね合わせて心情を追うことができることも重層的で面白い。
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