[幸福を巡る物語、或いは現代のシンデレラ] 100点
ゲストとして登壇していたヘルマー監督やパス・ヴェガ、ドゥニ・ラヴァンといった面々と対面出来たので、それで十分。握手までしてもらって感情がサチった。
物語は、主人公の鉄道運転手が電車に引っ掛かったブラジャーの持ち主をチャーミング王子の如く探していくという突飛な発想をヘルマーの十八番である"非言語化"によって精製している。これが見事であり、マノイロヴィッチの絶妙に枯れた感じがジャック・タチを連想させる。ブラジャーの持ち主候補もブラに対してサイズが違ったり、そもそも取り合ってくれなかったり、別の目的に使われたりと運転手を翻弄し、悉く笑いをかっさらっていた。
最後には"ブラは目的ではなく過程である"ことを鮮やかに示していた。それは運転手が家族を得る過程である。魚釣りの場面で笑い者にされていた孤独な老人が全ての間を省略して"孫"をゲットしたのだ。泣いた。
でもドゥニ・ラヴァンと握手したのでもっと泣いた。ありがとうヘルマー、ありがとうマノイロヴィッチ、ありがとうラヴァン!Wunderbar!