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ホワイト・クロウ 伝説のダンサーのNMのレビュー・感想・評価

2.6
1961年。
ソ連のキーロフバレエ団(現マリインスキー)から初めてパリに公演来たヌレエフ。国費で通う優等生で新星と名高い。
束縛されるのが嫌いで怒りやすく、ホワイトクロウというあだ名があるらしい。自分の才能を信じ若く希望と野心に燃えている。
そんな性格もあってパリでもKGBは彼に監視の目を光らせている。東欧と西欧が分断していた時代。
しかしヌレエフはバレエのためならKGBを恐れず誰とでも話し、何でも吸収する。目上の人にも逆らうし門限も破り、警告も受けた。

公演は成功。ロンドンへ移動する日、空港へは当局が待受け、ソ連へ帰国するよう取り囲んだ。言う通りに帰ったら投獄されかねない。
友人たちの協力でフランス亡命の意思を示し空港警察へ保護された。
それは家族や祖国とも決別を意味する。帰国は絶望的だし母親は虐げられる恐れもある。
人生を賭けた決断をし、自分の道を進むヌレエフ…。

主人公は心情を語るタイプではなく思春期や反抗期ような態度で頻繁に怒る。過去の回想も、子役は表情がなく母もほんのり微笑んでいるだけで、誰が何をどう思っていたということが明確には示されずこちらで想像するしかない。敢えて想像の余地を残したとしても多すぎる。
実話ベースだから極力脚色を控えたのだろうか。かなり淡々としていて感情に共感できるシーンがあまりないのが残念。
空港で囲まれるシーンは唯一スリルがあるが、それも案外すんなりと終わってしまいそのままエンディング。
伝えたいメッセージなどは感じづらかった。
ダンスシーンを魅せるわけでもなく、高まる緊張感やアクションがあるわけでもなかった。

ヌレエフ役のイヴェンコはタタールオペラバレエ団に所属、本作で映画デビュー。
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