まりぃくりすてぃ

15Malaysiaのまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

15Malaysia(2009年製作の映画)
4.3
ヤスミン3連発に涙止まらず! ヤスミンの遺作短編『CHOCOLATE』〜ピート・テオによるそのメイキング映像〜ヤスミン出演の『HOUSE』だよ。特にメイキングの温かさに泣きました。タレンタイム🇲🇾とオーキッド4部作🧕🧕🧕🧕に感電したことのある映画ファンはこのオムニバス必見です!! (2022年2月3日まで無料視聴できるよ♪ CROSSCUT ASIA オンライン映画祭 https://jfac.jp/culture/events/e-crosscut-asia-online/?utm_source=Twitter&utm_medium=social  他の美味しそうなアジア映画も見放題。マリは人んちのPCで観ました。)
タレンタイムの音楽担当ピート・テオがプロデュースした全15篇(+前記メイキング一つ)に、MV4曲つき。オムニバスの第1話があっさり終わっちゃってから2話でアラアラ…、3話でムムム…。現代マレーシアの社会問題や政治をさまざまな切り口から示してポップンロールしてる試みはたぶん全正解なんだろう…けど、とまどいながら見ていく感じあり……が、買春現場を描いた6話からキレが増し、7話以降は最後まで個性派の秀作揃い!!
そんな中でお待ちかねのヤスミン遺作は8話です。タレンタイムの “小憎いライバル少年” ホン・カーホウが、ビター&スウィートなジャニ的魅力全開・面目躍如の主役っぷりで、お相手はあの伝説のオーキッド少女シャリファ・アマニ。ガミガミ小言のお母さん役はタレンタイムの月光弾いてた家政婦さんのメイ・リン・タンだ! 意味を私たちに委ねるいつもの感じ含めて何て愛らしい掌編なんでしょう!!
続く9話にはタレンタイムのインド人のお母さんだったスカニア・ペヌゴパルが今回は穏やかなお母さん役…と思いきや、またまた後半に泣きわめきシーンです〜。ラストシーンにはヤスミンが先生役で慈愛をチャージしに来ますからご安心。
その後も10話から15話まで雑色さに賛成しちゃえる秀作の数珠つなぎ😤 12話にはタレンタイムの審査員先生だったアディバ・ノールがどこかのお婆ちゃんと凄いこと演ってます。タレンタイムのお父さんだったハリス・イスカンダルは4話に登場してたし。
あと、冒頭の「選挙に行こう」「愛で国を一つに」とかイイコト歌ってるMV3本の2本目の「あなたに続く道を歩んできた こんなに遠くまでやってきた 私と一緒に来てくれる?」の SLIPSTREAM ってピアノバラードは限りなくタレンタイムの Angel っぽい上に、ラストのMVはあの I Go です。もちろん全部、ピート・テオ作曲。MV3本目にもパントマイムのイスカンダルと笑顔のヤスミンと溌溂したジャクリン・ビクター(インドの姉)がいるし、とにかくもうヤスミンワールドの人たちわんさか出てきて胸一杯。
もちろん、そういうのと無関係な俳優さんたち(特に保健相の表情☜本物の大臣?)も各ドラマも主張も素晴らし気味だった。ロジャックとナシレマ食べてみたい💞💞 人んちで観たわけなんだけど、その人♂は買春の6話が一番よかったって言ってた。何で……



▼▼▼ネタバレ注意▼▼▼
▽▽おぼえがき▽▽
チョコレート のプロット

母「この町の人々は嫌い。引っ越すのよ!」
少年「友達がいるし、僕は引っ越したくない」
母「お黙り! ガミガミガミガミ」

客が来る。
少年(つっけんどんに)「何をお探しですかぁ」
相手は可愛らしい少女。

少年は、電池を買いに来たその少女に視線を吸い込まれつつ、優しい気持ちで、ふざけて哺乳瓶を出す。ここらへん、両者が(異民族分断の空気ありがちなマレーシアの常識を、超え気味に)互いに魔法みたく惹かれ合ってます。

少年の好意っぽい無邪気さに、少女は電池買うだけでは済まなくなり、とっさに、目の前にチョコレートの壺があるのでチョコをもイタズラっぽく一個買おうとすることで応える!
電池は2リンギット(= 200セン)だが、チョコは20セン。安い♪ でも、少女は15センしかもう持ってない。
5セン足りない。それは、買い物できる最小のコインがたった一個ないということ。(※※マレーシアでは2005年暮れより1セン硬貨の使用が法律で禁止され、事実上、すべての商行為は5セン以上のやりとりとなってます。つまり、日本でいえば一円玉がたった一つ足りなくてその小さなチョコが買えない、という場面です。これ重要!!!)

当然、少年は今にも「オマケしてあげるよ」と言いそうになってる。依然、魔法の中にいる二人。

そこへ母の鬼セリフ!
「マレー人の娘といつまで喋ってんのよ!!」
(※※日本語字幕では「マレー人の娘と」が省かれてるけど、原語に基づく英字幕ではそうあります。)

少年は我に返り、顔つきが急に厳しくなる。
少年「金がないなら買わないでっ」(☜声も険しい)

厳しく言われて少女も、ささやかな魔法っぽいひとときが終わってしまったのを察知し、常識的に謝って、電池だけ持って、去る。

少年は、最小の硬貨一個が足りないからと小さな小さなチョコ一個を少女に渡すことができなかったことで、今さらがっかりし、チョコをカウンターにたーんと置く。


(完璧演技)