こたつむり

サマー・オブ・84のこたつむりのレビュー・感想・評価

サマー・オブ・84(2017年製作の映画)
3.7
♪ Peach Time I Love You
  今晩ビビッとナンパをしようぜ

端的に言うならば、異説『スタンド・バイ・ミー』。本家は死体を探しに行きましたが、本作は「隣人が殺人鬼かも?」という着想から、色々と捜査する物語。その姿は確実に青春の一コマでした。

でも、本家と違うのは現実志向なこと。
何しろ、15歳男子と言えば、下半身が脳髄を支配している思春期ど真ん中。だから、少年のひと夏の冒険…そんな淡くて切ない雰囲気に期待したらダメなのです。

でもね。それが正しい中学生の在り方。
というか「モテてモテて困っちゃう(MMK)」なんて都市伝説ですよ。ノストラダムスの大予言と同じくらいの信憑性ですよ。

それに本作は現実に真摯に向かい合うのです。
それは「大人になるのは痛みを知ること」という真理。確かに、東の空が明るくなるまで語り合ったところで大人になんかなれないですよね(それはそれで良い経験ですが)。

ただ、親の気持ちで言うならば。
積極果敢に痛みを感じてもらいたくない…のが正直なところ。大人になる“儀式”は危険を伴うことが多いですからね。穏やかに終わってもらいたい…と思うのは過保護ですかね。

まあ、そんなわけで。
グロテスクな場面は皆無に等しいホラー映画。
恐怖というよりも“嫌なもの”を突き付けてくる物語なので、現実に対する練習(心の準備とも言えます)のように臨むのが吉かも(家庭環境は色々と大切ですね)。

ただ、あえて難を言うならば。
監督さんが意図したところだとしても、主人公に対して“イライラ”してしまったのは…やはり、マイナス評価。もう少し、柔らかめの表現の方が好みです。

何しろ、主人公は自覚していないのです。
自分が恵まれていることに。でも、それも彼が子供だから…と思えば仕方がないのかも。自分だって若かりし頃は“感謝の念”が薄かったですから。

勿論、今は東西南北全方位に感謝して日々を過ごしておりますよ。いや、マジで。
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