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運び屋のCHまちのレビュー・感想・評価

運び屋(2018年製作の映画)
4.7
《作品概要》
90歳のアールは家族を顧みず仕事一筋に生きてきたが、花の栽培の仕事で利用していた土地を差し押さえられそうになる。そんなとき彼は車で“ある荷物”を目的地まで運ぶだけの簡単な仕事を持ち掛けられる。金に困っていた彼は何の疑いもせず仕事を引き受け、目的地まで荷物を運搬するのであったが、その荷物は実は“麻薬”であった……。

《感想》
本作は80歳代で麻薬の運び屋となった第二次世界大戦の退役軍人であるレオ・シャープの実話に基づいている作品だということ。実話を元にした映画は他にも多数存在するけれどいざ映画にすると微妙になったりする作品もある中で、今作は実話の部分をうまく取り入れながらも映画的演出や展開を上手に味付けされた映画だと思う。

麻薬を運ぶという闇の仕事ながらも、作中では運転中に歌を歌ったり、運搬中寄り道するわでお気楽おじさんっぷりを発揮するアール。実際のレオ・シャープがこのような人物だったかは不明ですが、あえて映画的にそういう役柄にしたのかな?だとしたら、これはイーストウッドならでわの魅力があふれたキャラ設定ですね。

作品のテーマとしては“人生で1番大切なものは何なのか?”という問いを主人公のアールが家族との衝突や、運び屋という仕事をしながらも答えを模索していくことになります。

そして物語の終盤、アール自身がその答えにたどり着くのですが終盤からエンディングを迎えるまでの流れがとても良いんですよ!グッとこみ上げてくるものがありました…。

また余談ですが個人的にエンドロールの曲もこの作品の雰囲気に合っていて好みでした。

とまあ、作品の内容についての感想はここまでにしておいて…

今回、他の何よりも特に言いたかったのが何といってもイーストウッドの圧倒的存在感!!本作の主人公アール・ストーンはイーストウッドの魅力が存分に凝縮された役柄で彼以外の適任いるの?っていうぐらいベストキャスティングでした!グラン・トリノの時もそうだったけど、こういう哀愁漂う孤独な老人役は本当に適役ですね。

この映画を観て改めて思ったのが、イーストウッドはやはり偉大。他の役者さんより出演時間が長いということもありますが、やっぱり彼の熟練された演技と圧倒的存在感に心惹かれてしまうんですよね。

御年88歳のベテラン役者イーストウッドが渋くて、味わい深い演技で本当に格好良かった。個人的に好きな役者さんの中の1人なので本作は公開前から凄く楽しみにしていました。その結果、期待を裏切ることなく、むしろその期待を十分に上回る程大好きな作品に出会えました。ありがとうイーストウッド!

しかし、1つ気がかりなのが予告編で流れてた『人は永遠には走れない…。』これはおそらく映画の内容のことを言っているのだと思ったけど、もしかしたらイーストウッドのことを言ってないですよね?彼の出演する作品をこれからも観ていたいので、若い人にはまだまだ負けないんだぞっていう役者魂をこれからも見せて欲しいと心から思っています。
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