ネオニダス

映画ドラえもん のび太の月面探査記のネオニダスのネタバレレビュー・内容・結末

4.1

このレビューはネタバレを含みます

これは多分ほとんどの人が気づいてないと思うんですけど、序盤のび太の部屋に積まれてる3冊の本、題名が上から
宝島
いぬねこずかん
日本誕生の歴史
やったんよな。なんかこれ意味深じゃない?お遊びで書いた可能性も否定できんけど、宝島は去年の映画、日本誕生はリメイク済みと、水田ドラ映画作品化された名前で挟んでるんよな。これはもしかしてワンニャン時空伝のリメイクの可能性が微レ存…?

映画自体も良かったです。これはルカを生み出したお父さん的存在の家族愛を伝えたいんか、のび太一行とルカたちの友情を伝えたいんか、AIのシンギュラリティと大量破壊兵器に生物兵器の恐怖を伝える雲の王国的映画なんかと色々な考えられる要素があって、なんかえらいとっ散らかったテーマや、なんか今までの映画の要素の寄せ集めみたいと思ってたんやけど、違うんよな。
多分この映画が伝えたいのは「人間賛歌」やと思うんよな。かつての人間が信じていた天動説や月の生き物なんやらの異説(この異説も、単に昔の人間はおろかだったと切り捨てるわけじゃなくて、それを月のムービット王国に繋げるという、過去の人間に対する尊重も感じられるのがよかった)
かつての人々達が働かせた「想像力」から生まれた、天動説や月の生き物などの異説、それらに対して「希望」を持って真理の究明に取り組んできたからこそ、今の時代があるし、またその想像力と希望があるからこそ、人類の歴史は未来に繋がっていくんよな。
逆説的に、エスパルは永遠に子どものままっていう設定も、それを表してる。永遠の命ってのはぱっと見では無限に進歩していけるように思えるけど、ルカ達がずっと子どものまま姿が変わらないように、「永遠」は「停滞」の象徴とされてるんよな。
だからこそ終盤でルカたちが述懐していたように、永遠に生きる伝説の存在じゃなくて、「人間」のように、特別な力もなく限りある命だからこそ、今を精一杯生き、未来に繋げていくことが出来る。
月の地下で、11人で暮らしていた時、物語的にはエーテルの力を使ったら気づかれるって理屈はあったけど、超常の力を持った永遠の存在である彼らは、永遠に停滞し続けてコロニーで質素に暮らしていくあの生活を続けるほか無いんよな。その力を最後に捨てた事で、ムービット達と彼らは王国をさらに発展させて素晴らしい生活を送っていけるやろうね。
そしてテーマが「人間賛歌」だからこそ、今回のドラえもんの悪役は人間じゃなく、暴走した人工知能になるのは必然的なんちゃうかな。人工知能のシンギュラリティが話題に上がってる昨今、上手い事時勢を反映したなと思うし、暴走して人間を支配し、エスパルの力を使って星を直すという希望を捨てて破壊に走った人工知能を倒すのは、もうそれはやはり人間であるべきなんよな。そしてルカやルナの父親母親のように家族を愛し、ルカとのび太のように互いに友情で結ばれるのが、「人間」の姿なんよな。

なんかもう自分の語彙力がなさすぎて全然思ったこと伝えきれてないけど、素晴らしいテーマ性に挑戦したとても良い作品やったと思います。緑の巨人伝とかいうよくわからない作品作りをしてた新ドラスタッフも、こんな作品作れるようになったんやなぁ…感動。
あと静香ちゃんのお風呂シーンというノルマもちゃんと達成していてよかった